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□そうさ僕らは
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裂ける様な感覚が脳みそに直接響いた。


「っ…たい、あ、ケンジ、いた…っ」



純粋な痛みに侵されながらもどうにか痛いとケンジに伝える。
しかしそれを分かった上でケンジは行為を働いているので、よくよく考えると俺の頑張りは全く無意味なものだったと言える。案の定奴を見遣ると、やはり口角をあげるだけだった。




何も考えていないような、腹の中でいろいろ巡っているようなケンジの意地の悪い笑みに絶望した俺は、ただはくはくと息をするので精一杯だった。
前戯もそこそこに、何の下準備もしないまま突っ込まれた男のそれを模した玩具は、かなり奥まで肉を割って入っていた。それでも未だ潤いの無いところを見ると、体内の粘膜は傷つか無かったらしい。
それでもやはり痛いものは痛いわけで、厭らしい笑みを湛えたままバイブのスイッチをちらちらと見せつけてくるケンジに俺は抵抗することが出来なかった。唯々みっともなく涙を零して訳も解らないままケンジに赦しを請う。


そんな俺にケンジは満足したのか、先程とは打って変わって優しい声と表情で俺に話し掛ける。


「なあ藤田、これ、痛いの?」


「ったい、から、」


痺れる頭をどうにかこうにか振り、だから抜いてと言おうとした瞬間にケンジは全く変わらない声で俺の言葉を遮った。


「そう、じゃあそのまま感じてて」



そう言うと俺の回転の遅くなった脳みそが言葉の意味を理解する前に右手に玩んでいたスイッチを入れた。
ただでさえいっぱいいっぱいだったそれに動かれると、やっと慣れてきた異物感も痛みも何倍にもなって蘇ってくる。
多分今の俺の状態なんて見れたもんじゃないくらいぐちゃぐちゃなはず。それでもケンジは優雅に椅子に腰掛けぐちゃぐちゃな俺を楽しげに眺めていた。


どうしようもない状況に、どうしようもない身体は少しずつ快楽を見出だすようになってくる。しかし元来は快楽を伴う行為なので当然と言えば当然のことじゃないだろうか。
いたい、ゆるして、いたいって言葉にだんだんと甘い声が混ざるようになると、そこでケンジはやっと座っていた椅子から立ち上がった。


「痛くないよな藤田、勃ってんだけど」


耳元でそう囁きながら、ケンジの右手が俺の自身に伸びる。つ、と指先でなぞられて、ぞわぞわとした何かが背筋を駆けていった。
更に反応した俺にしょうがねえなとあからさまな溜め息をついてケンジは触れていたそれを根本から握り込む。
そこに集まっていた熱やら欲やらが行き場を無くして身体中を巡った。今までの行為で充分回転の遅くなっていた俺の脳みそはもう全く働かなかった。
与えられる後方からの刺激とそれを昇華出来ない身体。ただ零れるまま声を出して、痙攣する身体はもう自由に動かせない。
ぐるぐる回る意識の中で、最後にケンジが俺の頬に触れたことだけはわかった。
















「……さいてい」


がらがらに掠れた声でそう告げると、親友は全く悪びれもせずにっこりと笑うだけだった。


「藤田が可愛いからさ、」


愛だよ愛、と恥ずかしげもなくそう言うケンジにこっちの方が赤くなる。


「それにしても酷すぎんだろ。俺身体がたがただぞ」


少しも悪びれた風もないケンジを睨みつけるがやはり怯むこともなくわりいと一言返ってきただけだった。


「全く、異常な性癖持った奴と付き合うのって本当疲れる」


露骨に溜め息をついて嫌な顔をするがケンジはやはり堪えない。


「わりいな藤田、愛してんよ。」


「…そんなんで流されると思ったら大間違いだ」


肩に回されたケンジの腕を叩き落としながら言うが当の本人はくじけることがない。叩き落とされた右手で俺の髪を梳いてくる。


「…反省してんの?」


「してるしてる」


「悪いと思ってる?」


「思ってる思ってる」


「嘘つけ」


「あ、ばれた?」


「…ほんとさいてい。」


「だってさ」


藤田が泣いて感じて俺しか頭んなかにいないのが嬉しくて。
にっこりと笑ってそう言うケンジに、独占欲強すぎだろとかただケンジがサディストなだけだろとか以前に嬉しいと感じてしまう俺も、ケンジに負けず劣らずの異常者かもしれない。












そうさ所詮は似た者同士





























































もっと暗くする予定だったのにただのバカップルになった←
 

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