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□それがひどく寂しかったのです
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ぐるぐるぐるぐる
右手に持っているスプーンでサイドテーブルに置いたスープを掻き回す。
紅い綺麗なそれはだんだんと波紋を大きくさせて、ついにはすぐ隣で転がっている彼の口元へと飛沫が飛んだ。
元来血液の苦手な大王はびくりと一瞬反応するが、それだけであとは身動きどころか声ひとつ上げない。上げられない。猿轡越しに聞こえる小さく震えた声。それごと飲み込むように付いた誰の物とも知らない血液を舐めとってやった。
その鉄臭い味とか大王とか雰囲気とか、いろんな要素が揃いすぎていて左脳はもう上手く働かない。ここで理性なんて働かせられるわけがない。
さあ皆さん、とばっちり食わないように至急緊急避難命令ですよっていうか僕と大王の間に入って来ないでください。


先日廊下で話していたあの男は誰ですか?
いつものようにセーラー服来たあんたを追っかけると、そこには僕以外と楽しげに笑っていたあんた。長々しい話しを終えるまでひたすら待って、ようやく気付いて貰えたその時調度4:44。一喝してから渡り廊下をふたりで歩く。嬉しいとか、秘密ですから。
そんな僕を邪魔するあいつは解雇して処分です。

さよなら。


大王、僕にはわかりません。他の奴になんか触れてほしくないんです。
身嗜みには気をつけるほうで、綺麗な庭の手入れが趣味 なんて
恋が変に変わってきました?

無遅刻、無欠席でいつも一緒に居る僕よりも、死者に笑顔を向けるあんた。
それが酷く寂しかったのです。









「だって、」
言えば大王の紅い目がいっぱいに開かれた。











「僕はもうすぐ消えてしまうというのに。」

















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シドの右手のスプーンと初恋とナイフって曲(1番だけ)をそのまま鬼閻にしてみました。
最後らへん力尽きてほとんど歌詞のままですが。←
 

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