日和

□羨ましくなくも、ない
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好きだよ、と愛の言葉。画面の向こう側は甘い世界。












-羨ましくなくも、ない-












「はあ…」


俺が今見入ってるのは下界のドラマ。



なんか貧乏人の女の子に超金持ちの男の子が恋に落ちる、なんて





所謂甘い甘い、ラブストーリー。





下界からてれびなるものを持ってきてから、俺は毎日てれびにかじりついている。

あ、仕事もちゃんとやってるよ?鬼男くん怒らせたら怖いしね。









(休憩時間、終わりそうだなあ……ああ、続きが気になるのに!)







なんて考えてたら、愛しの超有能秘書が裁きの間に入ってきた。
5分前行動なんて、さすが鬼男くん偉い!






「…まったく、まだ見てるんですか。早く消して下さい、午後の分の裁き始まりますよ!」






「うん、ちょっとだけ待って。今いいとこなの!」






しっかり画面に注目しながらそう言うと、後ろからはあ、と溜め息。












と同時に真っ暗になる画面。






えー!!と後ろを振り返るとリモコンを片手に呆れ顔の秘書。




「なんで消すの!今すっごい良いとこだったのに!」




「はいはい。わかりましたから仕事してください。DVDだからいつでも見えるでしょう。」






「なんだよ、おかんみたいなこと言っちゃって!鬼男くんは俺のおかんか!ママ鬼!教育ママ!!」




「うっせえな、全国の教育ママさんに土下座しろ!てか早く仕事しねえとテレビごとぶっ刺すぞ大王イカ!!」





「うっ…」






さすがにそれはまずい、と思った俺は仕方なく席に着く。







「ち、最初っからそうしてりゃあ良いものを…この大王イカが…」




(あ、れ)







いつもなら俺が席に着くと同時に良くなるはずの鬼男くんの機嫌が一向に良くならない。







(やばい、本気で怒らせたかな…)







思い立ったら即行動が吉。善は急げ。
すぐに謝っておく。
このまま鬼男くんの機嫌直んなくて、本当にテレビごと刺されちゃかなわないしね!





「えと…鬼男くんごめんね?ちゃんと仕事するからテレビ破壊だけは勘弁して欲しいな、なんて。」









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