日和

□だいきらい
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アンタの全部が嫌いなんだ。












-だいきらい-






「あーもーやだ!休憩なしでひたすら審判審判審判!ちょっと俺のこと働かせすぎじゃない!?」



閻魔が当然筆をごろんと放り出し喚いた。



「仕方ないでしょう!どっかの誰かさんが昨日セーラー服買うとか言って逃げ回ってくれたおかげですよ!!」




鬼男は威嚇するように閻魔の机に湯呑みを置く。
ごつ、と言う低く重い音が響いたが、もう慣れてしまった閻魔はこれしきのことでは怯まない。





「だって昨日までだったんだもん、セール。セーラー服はなあ高いんだぞ!」




「っ…」


悪びれた様子もなくお茶を啜りながらそう返す閻魔に鬼男は苛立つ。




(ああ閻魔大王の秘書になれたと知ったときの僕の感動を返せ!)









もう何百年も昔の話。
閻魔大王の秘書に選ばれたと聞かされた時、鬼男は顔にこそ出さなかったものの心底喜んだ。





一介の獄卒から冥界の最高権力者の秘書になれたとなると、それは当然のことだろう。




初めて閻魔を見て、こんなひょろいおっさんが、と唖然としたのを覚えている。
しかしその時は、人を見た目で判断してはいけない、この人は閻魔大王様だと自分に言い聞かせ、首を横に振った。















の だが。






仕事が始まってから、閻魔は脱走はするわセーラー服は持ってるわ。



とどめにこの間のゴメス事件。
弱いうえに緊急脱出。



鬼男の理想の閻魔像は音をたてて崩れ去った。








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