日和

□如何物
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「愛してる」に何の意味があるの。












-如何物-












「そういえば大王って、好きとか愛してるとか言いませんよね。」






情事後の気怠い雰囲気の中、鬼男がぽつりと呟いた。



「え、何、鬼男くんそーゆうの欲しい人だったの?
案外乙女なんだね」




閻魔は俯せて枕を抱いたまま、からかうように返事を返す。




「黙れイカ。僕じゃなくてアンタですよ。セーラー服好きな乙女大王イカは、甘ったるいも睦言好きだと思ってたんで。」






「…はは、」


閻魔が渇いた声で嘲笑う。




「そんな言葉、何の意味を持つのかな。」






「え?」



豹変した閻魔の声色に戸惑う鬼男を余所に、言葉は留まることはない。




「皆『愛』って言葉を求めて縋ってるけど、そんなもの何の意味も持たないでしょ?」



そんなもんなくたって勃つもんは勃つしね、とからからと笑いながら発せられる言葉に、鬼男は無言のまま顔をしかめた。



「愛してるから、愛されてるからって、何が変わったり誰が救えたりするもんじゃないんだ、



だって」

















俺は信じて救われたことなんて、一度もなかったんだから。










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