日和

□You (don't) love me .
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好きです大好きです愛してます。
-本当に?










-You (don't) love me-














真っ白だった。
外の景色も阿部の顔も俺の頭の中も何もかもが。
そしてこのどうしようもない現状の発端も外をちらつく白のせいなのだ。





ここ数日の天気といえば灰色の空と白い雪がひたすら続いていて、青を見ることなんて夢子の背景にべったりと味気なく塗られたものくらいでしかなかった。


そうなれば当然もともとバッタ並にしか残っていない俺の体力は気温と共にその残量を減らしていく。


「、…くそっ、」


絶対的に血が足りていない。
しかし赤ん坊ほどの体力すら残っていない俺は女性にビューティフルですねと声を掛ける以前に腰の高さ程しかない机の足元で這い蹲っていることしかできなかった。


(新刊も落としたし、もう死ぬな、これは…)


死を覚悟した俺の頭の片隅には夢子を最終回まで見られない悔しさと書き上げられなかった原稿への無念と、阿部に一言も言えずに逝ってしまう寂しさがあった。
それらが脳内をぐるぐると廻りながら、意識は遠ざかっていく。
だから一瞬だけみえた阿部の顔はその延長だと信じて疑わないまま俺は意識を手放した。



「っ、うあ、北、島さ…」



遠く聞こえる阿部の声により意識はだんだんと覚醒する。
生きてる、なんて少し驚きながら目を開けるとそこには白と赤しかなかった。


不思議に思いよくよく目を凝らしてみても変わらない状況は、すぐ耳元に聞こえる阿部の怯えた声と口内に感じる久々の鉄の味によって理解出来た。


それと同時に押し寄せてくる後悔。



綺麗な白を染め上げていたそれは、阿部の血の赤だった。






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