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□それを嘲笑った私の心理小説。
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「本当なんだ。でも、触った途端に色褪せる。急に怖くなるんだ。なんでかわからないけど…、」


「……、」


「でも欲しい。妹子が、すごく。手に入れて私だけのものにしたいと思うんだ。」


ぱた、と鎖骨の上に落ちる。そぶりこそ見せないものの、太子は確かに泣いていたのだ。
それはどこか幼子を連想させて、ああそうか と瞬時に理解することができた。

(寂しいんだ、この人は)


欲しい物は何でも手に入るくせに、その地位の 肩書きのせいでいつも太子は一人きりだってのだろう。
だから欲して、でも独りよがりでは決して手に入るモノではないと知っているから余計虚しさが広がって。

(なんて悪循環。)


「太子、」


呼ばれ上げた太子の顔に、そっと唇を押し付けた。未だ両腕を拘束されている為無理矢理な体勢になり首が痛む。
それを押し殺しきょとんと驚いた顔をしている太子に言ってやる。


「僕が、あんたを愛してやりますよ。」


するとたっぷり何十秒と間を空けた太子が、ふと嫌な笑みを浮かべた。
彼の周りの空気ががらりと変わったのが肌を通して伝わる。


「何言ってんの。」


嘲笑うように吐き捨てた太子は、僕を侮蔑するかのように続けた。


「私を愛するって、たかだか五位の妹子が?同情?それとも私にくっついてると何かあるかもなんて下心?」


「…太子」


「だいたい私たち男同士だしね。そうやって身を売ってまでのし上がりたいんだ?そんなふうには見えないのに、とんだ野心家だな。」


「太子、」


「もうたくさんなんだよ、無理矢理押し付けられる愛情なんて!本当は私のことなんてなんとも思ってないくせに!!」


喚き散らし、しんと静まり返った空間に太子の荒い息だけが耳につく。


「言いたいことはそれだけですか?」


「……っ、!!」


僕の上で今まで喚いていた太子をがっ、と蹴り上げた。膝が見事に鳩尾に入った太子は苦しそうに咳込んでいる。


「随分好き勝手言ってくれましたね。勝手な被害妄想でべらべらと。僕があんたを使ってのし上がろうですって?あんたの力なんて借りなくても勝手にのし上がってやりますよ!本来なら僕らはこうやって一緒に居ることすら無いんですから!」


「それに、同情だけであんたみたいな無茶苦茶な人間相手にできませんよ。…意味、わかります?」


一息にまくし立てると、先程まで喚いていた太子は急に縮んでしまっていた。


「…言葉なんて、どんなふうにでも紡げられるだろ、」


それでも尚言い訳をするように反論する太子にち、と二度目の舌打ちをする。それからキッと、揺れる黒い瞳に向かって叫んだ。


「じゃあ態度で示してやるからとりあえずこの縄解けこのアワビが!!」

















後に散々この思い出話でからかわれるなんて思ってもみなかった僕は、今相当顔を赤くして隣で笑っている馬鹿を睨んでいる。



END




















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中途半端な終わり方して申し訳ない(´・ω・)




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