他
□青
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―軽蔑する?
自分で聞いておいて、やっと気付いた。
そうだ、これで健二さんに引かれて、これっきりになるかもしれないんだ。
見つめていた畳の目がじわりと涙で滲む。ラブマシーンに負けた時より辛いかもしれない。
しんとした沈黙が僕らの空間を支配する。何も聞こえないはずなのに耳が痛いくらいだった。
「…佳主馬くん、」
やっと発せられた健二さんの言葉にぎくりとする。大袈裟に震えた肩に、僕とのは違う白い手が置かれた。
顔を上げると、目前いっぱいに広がる肌色がデジャヴ。
さっきと同じように唇に柔らかな感触があって、一瞬遅れてから顔が一気に紅くなった。
数秒してからふ と顔が離れる。
想定外のアクションにぽかんとしていると健二さんにくつりと笑われた。
はっと意識を取り戻した直後に 僕も好きだよ。とか耳元で言われて、色恋に経験のない中学生の僕はいったいどうしたらいいですか。
佳主馬くん、
またぐるぐるしてたら優しい笑顔で名前を呼ばれる。
少しの間見つめ合ってから、今度は不意打ちじゃないちゃんとしたキスをした。
目を閉じる瞬間の健二さんの目を細めた顔と、後ろに広がる青空がずっと頭のなかに残っている。
青
(な、んか、 慣れてるみたいでむかつく。)
(まあ高校生だしね!)
(夏希姉ちゃんにはほっぺにちゅーされただけで鼻血吹いて倒れたくせに)
(なっ…!)
(ふん)
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