日和

□如何物
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閻魔の言葉に、鬼男は直ぐさま理解した。






(嗚呼、この人は、感情を閉じ込めてしまったんだ)









地球が生まれてから―もしかするとそれ以前からかもしれない―とにかく長い長い間、閻魔は独りで生きてきた。
無期限の寿命、輪廻することは許されない。




「…皆俺を置いて逝ってしまう、」





依存すればするだけ闇は深く広がっていく。そして、





「愛してます、大好きです、忘れません、待ってて下さい、…全部嘘だったんだよ。
それから鬼男くん、」









この人を置いて逝くのは














(僕も同じだ、)













薄く紅に染まっている閻魔の唇に、鬼男は自分のそれを重ねる。




閻魔は突然のくちづけを戸惑うことなくすんなりと受け入れた。





「ん、っふ、ぅ」







しばらくするとキスの合間に甘い声が漏れ始める。










(僕ではこの悲しいカミサマは救えない、


…ならばせめて、)






















一時の快楽と安息を貴方に。




























-如何物

それは直ぐに消えてしまう偽物だけれど、









End
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