その他
□笑うことのできる理由
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**ED後から数年経ったくらい**
「お前は、ずっと笑ってろ」
淡い薄紅色の桜の花びらが舞い落ちる中、彼は私に微笑みながらそう言った。
「いつか、この命が尽きて……俺がいなくなったとしても…お前は、笑って生きてくれ」
どこか遠くを見つめた横顔に胸が苦しくなった。
その言葉はあまりにも儚く、脆く、今にも彼がどこかへ行ってしまうかのような、そんな言葉。
私がはらはらと涙を流すと、彼は苦笑しつつもその涙を拭ってくれる。
「お前は泣き虫だなぁ……こんなんじゃ、俺はお前を置いてはいけねぇな」
笑え、と言った彼の言葉に私はくしゃりと精一杯の笑顔を浮かべた。
「私は…ずっと、貴方のそばにいます」
ですから、私を置いていかないでください。
そう途切れ途切れに言うと、彼は優しい瞳で私を見つめる。
彼の穏やかで優しげで、けれど強い意志を持ったその眼差しが
私はとても大好きだった。
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