NoBoDy'S
□歌姫の処刑台・前編
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都市リヴィル付近 マルス荒野
さんさんと容赦なく太陽の熱が降り注いでいる。確か数日前までは、この荒野の近くにある川が氾濫してしまうほどの大雨だったはずなのだ。
確かに、記憶している。
オレはその川を乗り越えて来たのだから。自力で。
だからと言って・・・。
オレ、ハイネはこの荒野の中心で叫んだ。
「こんなにも過酷にすることねぇだろーがぁあ!!」
この怒りの5割は壮大なる自然に。もう4割は神様に。そして残りの1割は、この荒野に入る前に持っていたすべての水を飲んでしまったオレ自身に。
簡潔に言ってしまえば、自業自得か?
「なんっで全部飲んじゃったかなぁ・・・オレの馬鹿・・・」
2時間前の自分に殺意が芽生えてきたのは気のせいだろうか。
眉間に皺を寄せて前髪をくしゃりと掴んで大きく息を吐いた。
「どーっすかなぁ・・・。リヴィルまでどんくらいあんのかわかんねーし。それに、こいつも・・・」
横目で右隣ににある相棒、オレ自慢のバイクをじとっと睨む。黒いボディの2人乗り用で普通のとは違ってひとまわり大きいタイヤと少ない燃料で長く走ることのできるのが特徴的な代物だ。
知り合いに頼んで改造してもらったもので旅の移動手段として乗ってたのが、無理してしまった。
そう、動かなくなってしまったのである。
確かに。
確かに険しく切り出された岩山をスタントマン顔負けの方法で通ったり、荒れ狂った川を突き抜けたりとなどなど。
とにかく、動かなくなっても仕方のないことばかりやっていた。
馬鹿だ。オレ馬鹿だ。
「夜までにリヴィルに着く計算だったのにな・・・。こいつを引きずって行ったら2,3日かかるしぃ・・・」
おもわずため息。しかし、嘆いていてもどうしようもないのだが。
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