パンドラハーツ

□願い+下
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願い〔後編〕


庭園を抜けレインズワース邸ヘ戻るといつものテラスに行き,ブレイクはアップルティーとティラミスのココットをシャロンの目の前に静かに置いた。




『………申し訳ありませんでした』





『………?』





『ワタシが遅れたせいで…貴女に怖い思いをさせてしまった』



ふとシャロンの方へと手を伸ばしそのまま髪へと指を通す。




『……ごめんシャロン』


ブレイクは申し訳ないという顔で謝ってきた。そんな姿を見たシャロンはふふふと笑う。




『大方溜めていた仕事の事で遅れてしまったのでしょう?』


『…………』
まったくもってその通り



『貴方が遅れることは判っていましたのに………,注意力の無かった私にも責任がありますわ』


だから,そんな顔しないで?


慰めるようにシャロンは優しく微笑んだ。



その姿に不覚にもドキリとしてしまう。



この何もかも溶かすような笑顔を向けられて惚れない男はいないんじゃないだろうか?


動揺したのを見破られないようブレイクは口先だけで笑う。


『………本当君には敵いませんヨ…』



するとシャロンがきょとんとした,そんな顔を向けてきて途端に愛しさが溢れでてきて,どうしようもなく好きだと感じて
ブレイクは立ち上がると流れるように後ろから抱きしめシャロンの首もとに顔を埋めた。







『〜っブレイクっ///!?』



『……何か……気にくわないですネ………』





シャロンは何の事だか判らず聞き返すとブレイクは不貞腐れた様に




『……幻とはいえ,他の男に貴女が抱き締められたなんて……気分悪いデス…』


シャロンの首もとから少し顔をあげ,髪をひとすくいする。


少し乱暴にポニーテールをほどいてやると,シャロンにこちらを向くように命令した。



『…他に何された?』



『て…手を握られたくらいですが…///』



いつもと雰囲気の違うブレイクに顔が赤くなる。





『……本当のこと言うなら今のうちですヨー』






ブレイクは目を細めるとシャロンの逃げ場を塞ぐように椅子に手をつく。お互いの息づかいさえも聞こえるようなそんな距離。




『ほ…本当ですわ!それ以外はなにもされてませんっ!!!信じてくださいっ///』






必死に弁解しているとブレイクはふっと笑い,『判りましたヨ』と言い優しく頭を撫でた。




『な,なに笑ってるんですかっ!?』




『いやぁ〜可愛いなって思いましテ』


そう言うとにっこりとブレイクは笑う。















“か、……かわい…い……?”




ボンッ…///!!!
と音が聞こえるくらい顔が真っ赤になり,そんな顔を見られたくなくって両手で隠すように覆う。


『ああぁ…あ,貴方はっい,いきなり何をっ…何を言うのですか!!!』



心臓が痛いくらいドキドキして,ブレイクの顔が見れませんっ……////!





『ふふふ…顔見せてくださいヨーお嬢サマァ〜』




そんなシャロンを茶化すように覗き込もうとするが『〜っ嫌です!///』と頑なに拒まれてしまう。仕方無いと手を掴みこちらを向かせようとしたが,ぷいっと反らされた。
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