パンドラハーツ

□――cold case――
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解決不可能

解決不可能

解決不可能


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――――cold case――――


それをコールドケース呼ぶ


――――cold case――――

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凍るような怖い夢を見た。



『…全く……なんなんだ…』


ケビン=レグナード



自分の名前を無意識に確かめる。あぁあれは全部夢だったんだ,自分がチェインと契約し116人も人を殺したなど…あれは夢。

ひとつ大きなため息をつくとベッドから立ち上がり伸びをする。まだ眠いがそろそろ起きなければ


『ケビン!』


突然後ろから抱きつかれ,よろめきそうになった。お嬢様かと振り向けば知らない女の子がいて,綺麗なサーモンピンクの髪が小さく揺れる。



どうすればいいのか判らずに固まっていると女の子は微笑み,今度は私のことを『ザクス兄さん』と呼んだ。





つぷりと空間が歪み
くらくらと足元が揺れる




否定したこの必然を

その名前が呼ばれるであろう未来を


私は否定する






【その名前を呼ばないでくれ!!!】



知らないうちに私は叫ぶ―――




暗転
反転

そしてまた暗転





私は

ワタシは……?





記憶が覚醒し始める




深淵の底



ゆらゆらと過去を漂い
またここへ戻ってきたのか


とても歪で懐かしい夢を見た気がしたがもう何も思い出せない


考えることを放棄した虚ろな私の輪郭を白い手がゆっくりとなぞって縁取り

安堵するように優しく抱きしめて




されるがままの私

傍観者のような感覚に

白い彼女の温もりを

この心地よさよ

もうなんでもいい

堕ちてしまおう

なにもかも

墜ちればいい



『やっぱり素敵な紅い眼ね』


アリス


君は


うっとりと呟く


またその白から目が離せない


あぁアリス……


『ねぇ…?私にもうひとつ頂戴…』




既に捕られた左目の上から降るその唇に心を奪われて…何も考えられなくなる


痺れていく感覚も
与えられた痛みさえも
もう何も感じない


ただひとつの救いを感じて



アリス
アリス
アリス





【Io sono piu profondamente, e so che in ghiaccio Rosso.(私はもっと深く、凍てついた紅を知ってます。)】





微笑.







そしてぷつりと 私は おわった









もうきみいがいなにもみえない






cold case――――.



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そもそも解決なんて望んでないんだ
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end.
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