パンドラハーツ
□願い+下
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『シャロン…こっち向きなさい…?』
それは駄々をこねる子供を,たしなめる様な感じで……あぁこの人はどうしてこんなにも大人なんだろうと思った。
……どうして私はこんなにも子供なのでしょうか?
今だって顔が見れないし
ドキドキだって止まらない
逃げ出したいくらい恥ずかしい
でもこの人は涼しい顔して私を真っ直ぐ見る余裕があって……
こんな素直になれない私…ブレイクだって内心きっと呆れてますわよね……,
子供で……,余裕がない私なんて…………きっと今に嫌になってしまうでしょう
――きっと……嫌…いになって…しま、う―――
ぐるぐると考えると止まらなくなり,負のスパイラルへと飲み込まれて……
『っ……!』
涙
気付いた時には頬をつたい落ちていた。
こんなことで泣いてしまったら本当に子供だ,……早く泣き止まなきゃと思うのに…思えば思うほど涙は止まらなくて…次から次へと下に落ちカーペットの色を変えてゆく。
『…お嬢様?』
つたう涙がポタリと落ちてブレイクはシャロンが泣き出したのに気付き慌てて指でそれを拭った。
『あぁ…泣かないでシャロン……』
優しく撫でながら『ごめんなさい』と謝る彼がどうしようもなく好きだと思う。
『…違うんですっ…私ばかりっ…あ…貴方を好き…みたいで…っ…///』
てっきり苛めすぎて泣いてしまったのかと思ったブレイクはその言葉に驚いた。
『あ,貴…方が…好き…っすぎてっ…怖い……!』
独占欲が強い自分が嫌なの
『……っ!』
気付いた時には勝手に体が動いていてシャロンを強く抱き締めていた…ブレイク自身も自分の行動に驚いたがもう止めらない。
絶対に離さない,という気持ちが伝わるように強く,強く抱き締めた。
あんなに可愛いく,自分を好きだと一生懸命伝えてきたシャロンにくらくらと目眩がする。
『君って人はっ……どこまでワタシを…狂わせるつもりですカっ…!』
余裕なんて最初から無かった
余裕のあるフリをして
無理矢理気持ちを押さえてた
でも君が
『シャロンが…そんなこと言うから……っ』
君を欲しがる自分が出てきて,
止められなくなる。
きっとシャロンよりワタシの方が独占欲の塊に違いない
あぁ
君には本当敵いませんねと
心の中でそっと呟いた。
『ザ…ザクス…兄さ…』
こんなにも強く抱き締めてられているという事実に涙はいつのまにか止まっていた。