-詩-

□Nothing to lose, except the true sky.
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彼は水素とヘリウムガスだと言って、複雑な顔をした。

たしかにそうかも、と思う。

でも結局 水素とヘリウムガスのおかげで生きているのだから、

文句は言えない。

信じていた真理が崩されるのは、フクザツ。

最初、太陽が気体だと知ったときのショックは、

エラリィ・クイーンが男性であったことを知ったときのショックや、

彼に彼女が居たことを知ったときのショックによく似ている。

でも、まあいいか、という感じ。

まあいいや。

ただ、あるべきことが、あるようにあるだけ。

知ったところで何か、変わるわけでもない。

何も変わらない事実。

太陽を見た。

空を見た。

青かった。

ストイックな青。

彼のシャツも同じくらい、似たような青で、

そのストイックさも好きだったけど、

それは僕のものじゃない。

彼は笑った。

実に透明感のある笑顔だった。

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