-詩-
□蒼い凍結
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僕は最近夢を見た
とても冷たく鈍くそれはどこか氷の様でもあった
青灰色の空が反映する結晶が一つ落ちて割れた
同じように二つ三つまた墜ちて、砕けて、その時澄んだ金属音がした
僕がそれに手を伸ばすとそれは僕の手を通過して音を立てて割れた
何だか胸が痛くなった。心が死んでいくのを見た様な気がした
凍りつき壊れていくそれは蒼い凍結だった
人間一人生かすことより死に流れた方が到達時間は早い
心もそれと同じだろうかと僕は思った
築く時間は長くとも死ぬのは一瞬だ
いつしか君に言った言葉が君を大いに傷つけた
それなら僕は君の心を壊した事になるのだろうか
それとも心が死んだのは僕の方なのか
また一つ墜ちては割れた
僕はいつから心無くしたのだろう
気付いた時には痛みを伴う傷さえ解らなくなっていた
見て見ぬ振りをして走り続けて後ろを振り向きもせず僕は死んだ
やっと痛みを感じた時にはもう涙さえ無かった
君の優しさを無下にした僕は愚かだった
青灰色の空が砕けた
一つ二つ次々に僕の前で割れた
これが僕の無くしてきた物だったのだ
これが僕の無くした心だったのだ
それはどこまでも澄んだ結晶だった
そしてそれは冷え切った静寂を湛えた青い蒼い凍結だった