-詩-
□傷
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例えば君が腕を切って
鮮やかな傷口から血が流れたら
僕の腕からもきっと出るだろう
見えなくても古傷から
きっと血は出る。
僕は腕を切ったとき
少しも痛いと思わなかった
そのときの心の方が
体の傷よりずっと痛かった
今その痛みが
また僕を蝕んでく
直接言葉にならなくても
君の空気から、色から、視線から
僕は君の暗黒が流れ込むのを感じる
君の痛みが僕に流れ込むのを感じる
僕は痛い。
君が世界を拒絶して
固く心を閉ざすなら
僕は
君の総てを受け入れる
僕が君の半分になって
君の痛みを半分食べてあげる
君が涙を流すなら僕も泣くから
だからそんなに
ひとりにならないで