短編小説

□純潔
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「なぁ、ガゼル。」

「なんだ。」

「どっか出掛けようぜ!」



突然のバーンの提案に驚くガゼル。
異様なほど笑顔なバーンに不信感を抱いたガゼルは何か祭でもあるのかと窓の外を見ようとする。
しかし、窓は曇っていて外は見えない。
今日はそれほど寒いのだ。





「なぜだ。今日は寒いぞ。
お前は寒いのは苦手なはずだろう?」

「それはっ……その…」

「?」

「いいんだよ、理由とか!!
とにかく出掛けるぞ!!」

「Σぅわっ!?」



無理矢理腕を引っ張られ、ガゼルはバーンと共に外に出る。
そして少し歩く。
商店街に向かっているらしい。





「…おい、バーン。」

「なんだよ。」

「店はまだ閉まっているはずだ。まだ朝の7時だ。」

「いいんだよ。どうせなにも買わねぇんだから。」

「はっ!?」





立ち止まるガゼル。
バーンはそれに気付き、振り返る。
ガゼルはなにかを探るような目をしている。






「なんなんだよ、ガゼル。」

「なんなんだよって…
それはこっちのセリフだ!!
なぜ用もないのに外に出ようなどと言った!?」




珍しく声を荒げるガゼル。
そのせいか、顔がいつもより少しだけ赤くなっている。




  
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