短編小説 GO

□それ、邪魔
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なんでだろうなぁ、いつもこんなかんじ。

同じ空間にいるのに違う空間にいるっちゅーか…。
二人とも別々のことを楽しんでる。
速水はベッドに座ってぼんやりしてる。
オレは雑誌読んでる。




『なぁ、速水』


「…なんですか?」


『今、何考えてた?』


「えっ……」







速水が黙ってぼんやりしてるから聞いてみた。
速水は真っ赤になって固まってる。
変なことでも考えてたのかな?

オレが答えを待ってじっと見てると、いつもみたいに、はわわ〜って言って座ってたベッドに突っ伏した。



ヤバ…可愛い……



こういう速水見てると、ついついいじめたくなっちゃうんだよなぁ。
オレは無意識のうちに後ろから速水の首に腕を回してた。
速水はホントに細っちくて可愛いよな。
許可もなしに抱き着いても、細い指でそっと手を握ってくれる。






『何考えてたんだよ、速水!言ってみ?笑わないからさ!』


「絶対に言いません!」


『なんでなんで?いいじゃん!』


「浜野、しつこいですよ!」


『よく言われる!で、何考えてたんだ?』


「もう!言いませんって!」






怒りぎみにそう言って振り向く速水。

唇と唇が触れた。

わざとじゃない。偶然あたったんだ。
…なんつって。

それにしても、チューするときって速水のチャームポイントのメガネは邪魔になるんだな。



唇が離れると速水は少し口を尖らせた。


「それ…やっぱり、邪魔です。おでこにあたって痛いんです。」





そう言ってオレのゴーグルをそっとはずした。

お返しっちゅーわけじゃないけど、オレも速水のメガネをはずす。



これでゆっくりチューできる。





「浜野…舌いれちゃイヤですよ…?」


『えー?ベロいれなきゃ楽しくないじゃん』


「でも、俺は、んむっ……」








イヤと言いながらも受け入れてる。
そこがまた可愛い。









『いただきます、速水』



「どうぞ…浜野……」























(やっぱり、ゴーグルはずさないとキスはできませんね…。こんなこと考えてたなんて、言えるわけがありませんよ…。)

 
 

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