*ヘタリア*

□SS
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ss1「一生の不覚」


無理なことはするものではない。

昨夜は久々に会った旧友と話が弾み、料亭で飲んでいたところまでは憶えているのだが・・・それ以降の記憶がない。

気が付いたときには朝で、自宅の寝室で眠っていた。

今までどんなに酔っていても記憶が抜けるなどということは無かったのに・・・それにしても腰がだるい。

重い腰を上げて、いつものように洗面台に顔を洗いに行って鏡を見て固まった。

寝癖が酷いとかそういう事ではなく、
喉仏に薄っすらと歯型の痕があるのだ。

しかも、そのまわりには点々と虫に刺されたような紅い痕が続いている。

これはまさか・・・考えたくはないが、キスマークというものではないだろうか(泣)
呆然と鏡の前で項垂れていると、


ミシミシっと音がする。


この家は物凄く古いのでどんなに忍び足で近寄ろうと足音は響く。

そのまま肌蹴た姿で洗面台に手をついて後ろを振り向こうとしたことを激しく後悔する。

何故、そのとき喉元を隠さなかったのかと・・・。

振り返った視線の先には、アーサー、フランシス、ルートヴィッヒの姿があった。

はじめはにこやかに「おはよう」と、
笑っていた三人だったが、自分の明らかに動揺した表情を見た三人は不審に思いじっと見つめる。

すると三人の視線は喉元の紅い痕一点に釘付けになる。

途端に鬼のような形相で自分の首辺りを穴があくほど見つめている2人の男と顔を真っ赤にしながら口元が引くついているルートヴィッヒ。

アーサーは涙目で怒りながらフランシスに咬みついているし、

フランシスは「あれはお前の仕業か!!(怒)」とルートヴィッヒに喰ってかかっていた。

ルートヴィッヒは「違うオレではない」と焦りながら顔を赤くしたり青くしたりでフランシスに揺さぶられている。


すると寝室から「ん〜うるさいよおぉ〜」と寝ぼけたフェリシアーノと枕をかかえたアルフレッドが出てきた。

それを見たアーサーとフランシスは、アルフレッドの耳を引っ張って
「あれはお前かっ!!」
と、私を指差す。

アルフレッドは泣きながら「違うよ僕じゃないよっ!!」と走り回りだした。

2人は怒鳴りながら捕まえようと必死になっている。

呆れているルートヴィッヒは、傍らのまだおねむなフェリシアーノを疑いの目で見つめている。

フェリシアーノはといえば、「もう食べられない〜」と涎を垂らしながらルートヴィッヒの腕をあむあむしている。

ルートヴィッヒと私は見つめてあって

「「・・・。」」

きっとこいつの仕業だろうと天を見上げた。

空は今日もいい天気だ。

「「まて、この野郎っ!!(怒)」」
「ヤアーアーっ!!(汗)」
「・・・。」
「あむあむ」

ああ、眩しすぎて目眩がする・・・。




後日談・・・結局、腰がだるかったのは寝ているときにアルフレッドが私の腰を抱きしめていたからだった。フェリシアーノとアルフレッドは当分
出入り禁止と三人に引きずられて帰っていった。これで暫らく平和に過ごせそうだ。


・・・多分。
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