縹色の狩人

□過去編その二
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私立誠凛高等学校。

新設されたばかりのこの学校に、当初男子バスケ部は存在しなかった。

けれど、あの年の春。

『じゃあ、創ろうぜ』

そう言った新入生の木吉鉄平が、同じく新入生の日向順平と藍原優輝に声をかけたことから始まった創部への動きは、伊月俊、水戸部凛之介、小金井慎二が入部したのち、最後に日向がバスケ部に入ることを決めて、一つの結実を見せる。

そして屋上での鮮烈すぎるバスケ部の決意表明から数日後…。

誠凛高校の廊下で、藍原はバスケ部監督である相田リコに呼び止められた。

「バスケ部に必要なものを買うから、ちょっと付き合って欲しいの」
「ああ、買い出しね。いい…」

「藍原ー」

リコの頼みに頷こうとした藍原を、担任が呼んだ。

「生徒会の事で話があるから、放課後に生徒会室に来てくれ」
「え、何かありましたか?」
「部活や他委員会の書類整理だ。生徒会長は絶対参加だからなー」
「はぁ…分かりました」

去っていく担任に生返事を返すと、藍原は困ったように頬をかいた。

「…ごめん、相田」
「気にしないで。生徒会長だもの、仕方ないわよ」

申し訳なさそうに言う藍原にリコは笑って言う。

新設されたばかりの誠凛で、初代生徒会長に選ばれた藍原は毎日忙しくしている事をリコも他の部員達も知っている。

「んー、藍原君がダメなら誰がいるかしら…」
「…あ、日向はどうだ?」

藍原の提案にリコは、んー、と数秒考えたあとに頷いた。

「そうね。ダメ元で頼んでみるわ」
「断りはしないと思うよ」

笑って言う藍原にリコは首を傾げた。

「そう、かしら?」

不思議そうに呟く彼女に、藍原は笑って頷いた。

その後、リコがダメ元で頼みに行くと、日向は藍原の言う通り、嫌な顔せずに承諾した。





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