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□春風駘蕩36
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「おめぇら…今日は…思う存分…食べまくれぇぇぇええ!!」
「「おおぉぉぉおお!!」」
『ちょっ!恥ずかしいからやめて!!』
今日はこの前の記憶喪失騒動でご迷惑をかけた(憶えてない)お詫びに万事屋3人組に…そう、いきなり呼び出されたと思ったらまるで借金取りのように迫り、あたしの財布を取り上げ、この食べ放題のお店まで連れてこられた。
なんて奴らだ!!
いつかあの人たちのせいでお金を全部吸いとられるんじゃないだろうか。
"お金は使うためにあるんだ"とこの前デパ地下で娘が母親にねだってたけど、まさにそう思う。
だけど、こんな使い方は嫌だぁぁああ!!
記憶がなかったことをいいことにまんまとはめられた。
あたしだってちょっと新八くんと顔合わせずらいのに!!
本人は憶えてないみたいなんでよかったけど。
(でもあたしはバッチリ憶えてる)
ふとバイキングコーナーに目をやると3人ともまるで子供のようにお皿を持ちながら料理を取っていく。
なぜだか憎めないんだよね。
ぐぅぅ〜
『う…あたしもお腹空いてきちゃった』
せっかくの食べ放題だし…よし、食べるぞー!!
ジー…
『!?…なんか今誰かに見られてたような……』
背中がゾクりと強ばるような感覚…
気のせい…かな?
『まぁいいか!お子さまランチ作るぞー!!ハンバーグに唐揚げにスパゲッティにぃ…ピラフ!!』
「あたしの気配を読み取るなんて…侮れないわ、あの女」
店内の物陰から少し顔を覗かせると一瞬の間に姿を消した。