□春風駘蕩38
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『払ってくれたの?そんな、高かったんじゃ』


「土方さんにツケといた」


あはは。
そうだよね、総悟だもの。

『そっか、よし今日は遊ぶぞー!!』


なんか久しぶりに気分が上々で楽しい。


いつも(いろんな意味で)なに考えてるかわからない総悟だけど、楽しそうだし。


それからは並んでアイスを食べて、ファミレスでご飯食べて、駄菓子屋でお菓子買ってゲームセンター行って。


ほとんど食べてばっかりだけど。


そういえば、あたし江戸に来てからこんな風に遊んだことなかったかも。


『あーこれ、かわいいね』


一瞬目に留まったUFOキャッチャーの中には猫のぬいぐるみが山のように積まれている。


「これですかィ?」


総悟は風船ガムをフゥーと膨らませながらUFOキャッチャーの中を除き込み、硬貨を入れた。


『え、取ってくれるの?』


「取れたらねィ」


ウィーンと動き出したアームはゆっくりとお目当ての猫ちゃんの上へと移動する。


そして猫を捕えながら景品の取り出し口へと運ぶ。


もう少し…


『あっ』


「ほら、取れやした」


ポイと投げられたぬいぐるみをキャッチする。


『わぁ…ありがと!』


真っ白で少しブサイクな顔がまたかわいい!!


『ねぇ、ちょっと待ってて』


「なんでさァ」


『まぁまぁ』


同じUFOキャッチャーにお金を入れて同じく猫のぬいぐるみを掴み取り出し口へと落とした。


「初心者にしちゃうまいじゃねーですかィ」


『うん、なんとなく』


取ったぬいぐるみを総悟に差し出す。


『あげるよ』


「ふん…ブサイクだねィ」

総悟にあげたのは取ってもらったのと色違いの黒いニャンコで、ブサイクなのは一緒。


「サンキュー」


フッとにわかに笑いながらズンズンとシューティングゲームの方へと歩いて行く。


『どう致しまして』
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