春風駘蕩

□春風駘蕩1
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空には船が飛び、街は天人で溢れる。

そんな江戸に私はいた。


いや、いたっていうか今電車でついたばかりなんだけれども…


そう…私は今日、田舎の病院から飛び出し江戸に来たのだ

先輩の医者と喧嘩し辞表を出したのが昨日。

いやぁ、自分でもびっくりするぐらいの行動力だよね、ほんと。


ほんとさ、当てもないのにキャリーバックに必要最低限なもの詰め込んでよく江戸まで来たよね、ほんと。


『ああぁぁ!!これからどうすればいいんだぁぁぁぁあ!!』


おい、白い目で見るな!!

泣きたくなるじゃん!


お金は日に日に貯めた貯金があるので住まいには心配ないけど、仕事がない。


まぁそれは後々探すとして、ちょっと公園で一休みしよ。

いきなりの長旅で流石に疲れた。




子供達がはしゃぐ公園のベンチに腰を下ろす


『ふぅ…江戸ってやっぱ都会だなぁ。これが俗に言うコンクリートジャングルってやつか』


「なんだ、嬢ちゃん。上京して来たの?」

うわ!!

グラサンをかけたおじさんにいきなり話し掛けられた。

『はぁ、まぁ…』


あたしの場合上京っていうのかな。


「そうかい。まぁ頑張りなよ!」


『あ、ありがとう御座います』


そう言ってグラサンのおじさんは去っていった。


そうだよね頑張らないと!

よし!!


私は立ち上がり、歩きだすのだった。






『あの!!ここで働かせて下さい!!』

最初は大きい総合病院。

「はい?」


『免許証だって有ります!ほら!!』


「…今忙しいんで他当たってくれます?」

『な、なんで!!』




ダメだ
全然相手にしてくれない…


確かに、アポも取ってないしこんな急に訪ねたってだめだよね。

やっぱり明日から頑張ろう。
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