春風駘蕩
□春風駘蕩9
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『車の免許取りたいです』
「…ななこちゃんったらどうしたの?急に」
『いや、別に大した理由では無いですけど』
「じゃあ取る必要なんて無いだろーが」
『えー!だって車乗りたいんだもん!!』
前から取りたいと思っていた免許。
でも忙しくてなかなか教習所に通うことも出来なかった。
でも今はヒm…まぁ仕事も忙しくないし、絶好のチャンスだと思って近藤さんと土方さんに承諾してもらおうと思ったんだけど。
「駄目だ。お前がいない間になんか事件があったらどうすんだ」
難しそうだ。
「俺はいいと思うぞ!トシ」
『こ、近藤さん!』
「は!?何言って…」
「今は攘夷志士たちも落ち着いてるし、そんな大きな事件も起きないさ」
ね?と言いながらあたしに笑いかける近藤さんはまるでゴリr…神のようだ!
『近藤さん…』
「たく…甘いんだよ、近藤さんは!そういう時に限って事件は起きるもんだ。兎に角、今は諦めろ」
『えぇ〜分かりましたよ…
チッ!!』
「おま、誰に向かって舌打ちしてんだぁぁあ!!」
流石に土方さんは難しいな。
『じゃ、失礼しました』
「おい、聞けよ!てめっ」
「トシィィ落ち着いてぇぇ!!」
『ねぇ酷くない?せっかく免許取れる歳になったのにさッ!!土方さんってば…』
縁側の柱に寄っ掛かり不気味なアイマスクを着けて寝てる総悟に一方的に喋る。
『あたしの夢は、スカイラインをビュンビュン突っ走ることなんだよ〜。それで〜…あぁ…もう自分で何言いたいのか解らなくなった!もういいや』
寝てる相手に愚痴ったって仕方ないよね。
そう思い立ち上がると寝ていたはずの総悟がスカートを掴んだ。
え、ちょセクハラ…
「ま、頑張りなせェ」
『……うん』
起きてたんかい!