□春風駘蕩32
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『ぅう…』


頭が重い。


ていうか身体中が痛いんですけど。


あれ、動けない。


ていうか目の前真っ暗だし。


あれ、これ目隠しされてない?
ていうか縛られてない!?


『ちょ、誰かいませんかー!!すみませーん』


叫んでみたものの、なにも返事が帰ってこない。


そういえばあたし、真選組から帰ってる途中だったんだよね…
そうそう、怪しい男たちに囲まれて、後ろから変な臭いのついた布をあてられて…そんでもって意識が無くなくなって……今の状況?


『誘拐された?』


「気付くの遅すぎッスよ」


一人だと思っていた空間に女の人の声が響く。


『…誰?』


「あんたが春風ななこッスか」


『そうですけどって…だったらなんですか?ていうかあなた誰ですか?ここはどこですか?寒いんですけど何か着るものありますか?』


「質問多っ!!最後に至っては要望じゃないッスか!!しかも本人だって認めちゃってるしィィ!!」


『やべ』


「バカなんスか!?…まぁいい。とりあえず晋助様がお呼びッス」


『晋助?』


パンッ!と乾いた銃声と共にはらりと目を覆っていた布が落ちた。


「貴様ぁぁ!!晋助様を呼び捨てにするなんて、この来島また子が許さないッス」
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