□春風駘蕩38
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『はい、これでよし!!』


「ありがとうななこちゃん!」


土方さんが鍛練に力を入れたおかげで、ここ最近休む間もなくボロボロになった隊士たちが治療室を訪れる。


今日も常連さんになりつつある山崎さんの腕に包帯を巻く。


「急に副長ったらやる気出し始めちゃってさぁ、俺もそうやすやすとミントンできなくなっちゃったよ」


『まぁまぁ!!ミントンだったら私が一緒に付き合いますよ!!』


「え、いいよ。だってななこちゃん…超ヘタクソじゃん。ていうかなんでそんな嬉しそうなの?なんかイラってする」


なんでってそりゃ、あたしも必要とされてるんだなみたいな、ね。やっぱり嬉しいじゃない。

っていうかヘタクソってなんだコラ。

でも本当のことだからは言い返せないじゃねーかコラ。


『あれですよ…えー…山崎さんの顔が毎日見れて嬉しいだけです』


「嘘くさ!!なんかいつも俺だけ厳しいんだもん、あの人。誰かが副長をそそのかしたに違いないね」


『そ、そそのかしただなんて、そんなことしてないですよ』


「え?」


『あ、なんでもないです』


「…まぁいいや、じゃあありがとうね」


『はーい、お大事に』


山崎さんは包帯で痛々しい手を振りながら治療室を出ていった。


『ふぅ…あぶないあぶない!』


もし、そそのかしたのがあたしだとバレれば、ただじゃ済まないだろう。



「よぅ、大変そうですねィ」


『総悟!!』


声のする方を見るとドアを開けて、総悟がスタスタと入ってくる。


「暇」


何を言うのかと思えば、暇って…


ドスンとベットにダイブするやいなや、私のDSをやり始めた。


『暇って言われても、だから?なんですけど、あと、あたしのデータ勝手にやらないで』


「じゃあ相手しろィ」


DSを閉じると敷き布団を叩いて、隣りに来いと手招きしてきた。


『アホかぁぁああ!!』


「嘘に決まってんだろうが、お前みたいなドングリ女抱いたって楽しくないんでね」


『ドングリ喉に詰まらせて死ね』
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