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□春風駘蕩40
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「いやぁ、お妙さんは今日も美人だなぁ!!」
「やだ、近藤さんったら、当たり前でしょ?」
『あ、ははは…』
流石お妙ちゃんだ。
近藤さんをあんなにメロメロにさせてもなお周りに笑顔を絶やさないとは…。
それに比べて神楽は、キャバ嬢のはずなのにホストクラブに遊びにきたかのように隊士たちをコキ使っている。
若干隊士たちも疲れ気味だ。
あたしはというとお妙ちゃんのヘルプに入りながらちょっと会話をしたりするだけ。
あたしもお妙ちゃんを見習わないとな。
「あの、隣いいかな?」
『は、はい!って、山…』
ややや山崎さんんんん!?
山崎さんが若干照れながら、申し訳なさそうに私の隣に座る。
ゲェェエエエ!!
よりによって監察の山崎さんが隣かよ!!
「どうかした?」
『いえ、ちょっと緊張してて!新人なんです』
「へぇ、そうなんだ!!名前は?」
名前?
か、考えてない!!
えーと、
『春と申します』
パッと浮かんだ名前を口にだす。
「春ちゃんか、俺は山崎退っていうんだ」
『じゃあ退さんってお呼びしていいですか?』
山崎さんなんて呼び方をして自分を出してはバレてしまう。
気は抜けない。
「もちろんだよ!!それにしても、春ちゃんってどっかで会ったことない?なんか他人て感じがしないんだよね」
『や、やだ、今日会ったばっかりですよ!!退さんったら、もしかして口説いてるつもりですか?』
「え、あああそうだよね!!ごめん、そんなつもりじゃないよ」
『冗談ですよ。お酒お注ぎしますね』
空になっているグラスにワインを注ぐ。
「あ、ありがとう!!」