春風駘蕩
□春風駘蕩3
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『あの、何か?』
いい加減、痺れを切らしたあたしが彼に問いかける。
「いや、なんでもないでさぁ。俺ァ沖田総悟。以後よろしく」
『え、あ…よろしく』
見つめていたと思えば急の自己紹介。
リズムが掴めないというか…
拍子抜けしてしまう。
「たく、本題に戻すぞ。隊服の事なんだが、上がお前のためにわざわざ用意したそうだ」
土方さんは少し苛ついた様子で煙草に火を点けながら話す。
隊服って…そんなの白衣があれば良いのに。
でも直々に用意してくれたなんて、流石真選組というところか。
『ありがとうございます』
「一応ななこちゃんは隊長だからね、俺達が着ている隊長格の隊服みたいな感じになると思うよ!!後は出来てからのお楽しみだね!」
近藤さんが楽しそうに話すとなんだか、こっちまで楽しくなるな。
『へぇ!!凄く楽しみです』
スカートかな!?ズボンかも!
色々なデザインの隊服を想像してしまう。
いやぁ、まだまだあたしも若いから、そういうのは憧れてしまう。
「明日には届くそうだぞ。それから歓迎会もやるからそん時、隊士達に自己紹介してくれ」
明日…
随分と早くない?
しかも歓迎会だなんてちょっと照れくさいな
ついつい頬が緩んでしまう
「なに照れてんでィ。気持ち悪りぃ」
……?
今なんて?
き、気持ち悪い?
あれ、初対面だよね?
10分位前に始めて会ったよね?
「総悟!!女の子に気持ち悪いなんて言っちゃいけません!!」
「本当の事言ったまででさァ、近藤さん」
ピキピキ…あぁ、やば。
青筋立ってんじゃね?
はは…
大丈夫大丈夫…。
これはあたしを試してるのよ。
変な挑発には乗らない方がいい。
まくまで自然していればいいの。
……
「お、おい春風…?」
心配そうにあたしの機嫌を伺う土方さんは優しい人だと思う。