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□春風駘蕩33
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なんでこう、ここの人は暴力的なんだろうか。
もうちょっと優しくしてくれたっていいじゃない!!
『じゃあ…歌います』
ヘッドフォンの人は廊下に体育座りをしながら拍手を贈る。
とりあえず渡された電源も入ってないマイクを持って、お通ちゃんの曲を歌ってみることにした。
新八くんにお通ちゃんのアルバム借りといて本当によかった!
『チョメ!チョメチョメチョメ公〜!!』
ほんとなんであたしこんなことしてんのよ。
『ポリ!ポリポリポリポリくぅーらえー!!』
手拍子してくれてるし。
うん、ありがとう。
「こぅおらぁぁああああ!!春風ななこー!!勝手に部屋飛び出すなんて死にたいんスか!?あぁん!!?」
『チョメ!って、うげぇ!!露出女!!』
廊下をものすごい速さでかけて来たのはあの、またたま子さんだった。
「誰が露出女じゃあああ!!」
『ひぃぃ!!なんて地獄耳!!』
「露出女、うるさいでござるよ。せっかくのリズムが乱れてしまった」
「だから、露出女じゃないって言ってるじゃないッスかぁぁあ!!」
『いや、本当にすみませんでした!鍵とかかかってなかったもんで出ていいのかと…』
「それは晋助様が余計なことをするなと言ったからッス!!とにかく!!あんたが起きたら真っ先に連れてこいって言われてんスよ!!」
『はーい、わかりましたよ、露出女』
「今なんつった!?小娘ぇぇええ!!」
『ひぃぃ!!』
胸ぐらを捕まれ銃を突きつけられた。
くぅ!!なんて暴力的なの!?
そのまま引きずられるように連れていかれる。
「ななこ」
ヘッドフォンの人がぼそりと呼んだ。
『はい?』
「またそのリズム、聴かせてほしい」
『…はい!』
そう言うと満足そうに歩いて行ってしまった。