□春風駘蕩37
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チュンチュンと鳥が朝を告げる。


『昨日はありがとうございました』


「おう、気を付けてな」


手を振る全蔵さんに一礼して、真選組の屯所に向かう。


道は全蔵さんが教えてくれたので問題ない。




えーとここを右に曲がって、3つの信号までまっすぐか。


我ながらまだここら辺がよくわからないという…


複雑過ぎるのよね!!



プップー!!

『ん?クラクション?』


なんだろうと後ろを振り返ると一台の白黒の車が朝靄の中から姿を現した。


あれは…まさか真選組のみんな!!


おー丁度よかった、歩くのたるかったし乗せてもらお!


『ヘイヘーイ!!』


声の出しながら手を大きく振る。


車が停車すると窓から土方さんが顔を出した。
その奥でハンドルを握ったゴリ…近藤さんが座っている


「こんなところでなにやってんだお前」


「ななこちゃんおはよう!!」


『おはようございます、屯所まで歩いているんですよ』


「そうか、まぁ乗りなよ!俺たちも丁度、早朝見廻りが終わったところだからさ」


『やったー!!』


後部座席のドアを開け、中央に座る。


「なぁ…お前ん家、こっちじゃないよな」


『え、』


「そういえば、確かに!!」


『話すと長くなるので…』

てかめんどくさい。


「もしかして、朝帰り!?」


「『は?』」


拍子抜けした近藤さんの問いに土方さんと私の声が重なった。


『ちょっと!やめて下さ…いよ?』
あれ、でも朝帰りにはかわりない?


「なんで疑問系になった?おま…まじで朝帰りか」


『と、友達の家に泊まっただけですよ』


「お前…友達いねぇだろ」


土方さん鋭い!!
悲しくなるほど鋭い!!


そうよ!!
どーせ友達なんかいないわよ!!
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