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□春風駘蕩39
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冷たい新八くんの目線に、しかたなくまたソファーに座り直す。
あたしも少し悪のりし過ぎちゃったかな。
『それで、どうして私がキャバ嬢にならんといけんとですか』
「あー、お妙が働いてるキャバクラの従業員が風邪引いて休んでるみたいでよ」
『え、お妙ちゃん?』
「そうなんです。今日は幕府の人たちが来るとか…とにかく誰でもいいから姉上が可愛い子を連れてきてほしいって」
まさか、お妙ちゃんのお願いだったなんて。
それじゃあこの人たちが必死になるのもよくわかる。
だって恐いもの!
『分かりました…私も万事屋の一員だもんね。やりますよ、キャバ嬢』
そう言えば、2人の顔はパッと明るくなる。
「ありがとうございます!!じゃあ早速姉上のところに行きましょう」
「え、もう?!!そんな急すぎ」
「ほら、行くぞ!神楽もオロナミンCまでだからな!!」
「わかってるネ!!」
ひょっこりと洗面所から派手な化粧をした神楽がでてきた。
珍しく静かだと思ったら…
神楽、それ…まるでオバケよ。
「ななこちゃん!!来てくれると思ったわ」
"スナックすまいる"と書かれたきらびやかな看板の下、いつもとは違う着物を着たお妙ちゃんが手を振る。
『もちろん、お妙ちゃんが困ってるのに放っておけるわけないじゃない!!』
「ありがとう!さぁ、入って」
高級感が溢れる店内に少し戸惑う。
こういうところ行ったことなかったから、緊張するな…
というか、これから接客やるんだよね。
あぁ…ちゃんとできるかな
「ふふ、そんな緊張しなくていいわよ!!ななこちゃんの衣装、用意しといたから着替えましょ」
「う、うん!!あ、あんまり派手じゃないので宜しくお願いします」