小説 クロスオーバー(Fate・なのは・ネギま)

□第三話
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「話しだと?」

 士郎はこちらにゆっくりと近づいてくる男に警戒の色を濃くしながら問う。

 一見は武器も何も持っていない一般人のように見える。だが士郎たちにはここまで接近されるまで気付けなかったことや、男が纏うその雰囲気から只者ではないということを感じさせる。

 それに今はただの一般人であろう彼女も傍にいる。もし仮に戦闘になるようなことがあれば、巻き込んでしまう可能性もある。そのこともより士郎たちを緊張させ慎重にさせた。

 そのとき男、タカミチも内心焦っていた。 

(まいったね、これは。二人ともかなりの実力者のようだ。そのうえ、綾瀬くんまで彼らの傍にいるとは・・・)

 タカミチは別に弱いわけではない。それどころか裏の中でも上位の強さを誇るほどだ。だが、そのタカミチをもってしても士郎達は、かなり強いと感じさせられた。しかも、さらに悪いことに生徒までもが近くにいる。もし人質にされたら、とタカミチが焦るのは当然のことだった。

「うん。とりあえず綾瀬くんをこちらに渡してもらえないかな?生徒をいつまでも外に出しているわけにもいかないからね。」

「高畑先生ですか?」

 その声につられ、今まで庇われるようになのはの背後にいた夕映が少し顔をだす。

「君の知り合いか?」 

「は、はいです。私が通っている学校のクラスの担任です。」

 さっき自分が話したときとの場の空気の違いに夕映は困惑をしながらもはっきりと頷く。

「学校の先生?」

 今男から感じる気配からおよそ考え付かなかったその返しになのはは思わずといった形で言ってしまった。

 その様子にタカミチは警戒のしせいを崩しはしなかったが苦笑いをこぼす。

「うん。綾瀬君は僕が担任をしているクラスの生徒だよ。」

「・・・そうか。まあ、彼女も知っているようだし嘘ではなさそうだな。なら、俺が手を出すこともないな。なのは。」

「うん、いろいろと助けてくれてありがとね。」

「いえ、困った人がいたら助けるのは当然のことですから。」

 お互いに軽く話しペコリと頭を下げあった士郎たちは、あっさりと夕映をタカミチの方に行かせた。そのことに少し困惑しながらも、夕映が何もされてないのを見て安堵の息を漏らす。

「さてと、それで何故、君達は、ここにいるんだい?素直に目的を教えてくれるとありがたいんだけど・・・。」

 夕映が何もされずこちらに引き渡されたことから取り敢えずは会話ができそうだと判断し、タカミチはそのまま相手の素性を聞き出そうとする。

「高畑先生、彼らは道に迷ってしまったんだそうです。」

「道に迷った?」

「はい。・・・知り合いに久しぶりに会いに来たんですけど、ちょっといろいろありまして」

 夕映がその質問に士郎たちに代わって答える。それにタカミチが困惑げな声をだし、なのはが少し緊張しながらうなずく。

「しかし、君達が尋ねてくるという報告を僕は受けた覚えはないけど・・・。」

 警戒の色を濃くし士郎たちのことを少し睨む。その言葉になのはは少し顔が強張ったが、士郎はそんなタカミチの視線を流し、夕映の事をちらりと見る。

「まあ、こちらにとっても突然のことであったから君が知らないのも無理はないかもしれないな。・・・しかし彼女を家に帰さなくていいのか?先程の話しからすると門限があるようだが。」

 遠まわしに彼女がいると話せないと伝え、その意図にタカミチも気付く。タカミチとしても、夕映がいる場合、裏の話を話せず、もしも戦闘になった場合、確実に戦闘巻き込むことになるのでその提案には願ったり適ったりだった。

「ああ、そうだね。綾瀬君、もう後のことは僕に任せて帰りなさい。宮崎くんも心配してるだろうから。」

「ああ!!そうでした。士郎さん、私はこれで失礼させていただきますね。」

「いや待ってくれ、彼女を一人で家に帰すのは・・・。」

「大丈夫ですよ。寮はすぐ近くですから。あ、私の名前は綾瀬夕映っていうです。失礼ではなければ、お二人の名前を教えていただけませんか?」

「私の名前は、高町なのは。いろいろとありがとね、夕映ちゃん。」

「はい、よろしくです。」

 なのはが明るく笑う。それに夕映も微笑み返す。

「俺の名前は衛宮士郎だ。綾瀬夕映・・・うん、この優しい響きはとても綾瀬にあってるな。」

 士郎の極自然に答えたそんな言葉に、夕映の顔が爆発したように一気に真っ赤になる。

 今まで男性と触れ合ったことがなく、さらには通っている学校は女子しかいない。そのためそんなことを言われるのは初めてのことだったのだ。

「っな!?え、えっと?!こ、これで失礼させていただきます!!」

 動揺しながら夕映は、士郎達に頭を下げ、走っていってしまった。後には、士郎のことをものすごく冷たい眼で見つめるなのはと引き攣った笑みをしたタカミチが残った。

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