小説 クロスオーバー(Fate・なのは・ネギま)

□第四話
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 タカミチの後に続き、士郎達が学園長室に向け僅かに電灯が灯った道を歩く。

「・・・あの、高畑さん。」

「なんだい?ああ、そういえば自己紹介がまだだったね。僕は、タカミチ・T・高畑。好きに読んでくれてかまわないよ。君達の紹介は、綾瀬君のときに聞いたから必要ないから。」

「じゃあ、タカミチさん。何故わたし達をあなた達のトップのいるところに連れて行くんですか?まだ素性もはっきりしていない私達を連れて行くのは、どうかと思うんですが?」

 なのはがタカミチの顔を探るように見る。

「アハハ、えらく直球に言うね。正直なところ、僕も君たちをいきなり学園長室に連れて行くのはさすがにどうかと思んだけど。あの人も一度決めると聞かない人だから。」

「・・・あんたも結構苦労してるんだな。」

 そんな士郎の言葉に思わず苦笑いする。

「まあね。でも別にそれだけってわけでもないよ。君達が本当のことを言ってるのかどうか僕にはわからないけど。少なくとも悪い人ではなさそうだからね。」

「どうして、そんなこと」
 なのはが不思議そうな顔をしタカミチを見る。

「そうだなぁ・・・。強いて言えば勘、かな。」

「そんなもので俺たちを信じたのか?あんたも大概お人好しなんだな。」

 士郎が思わず呆れ顔になる。

「こういうときの勘はなかなか馬鹿にできないもだよ。後、綾瀬くんを僕から守ろうとしてくれただろう。」

「っむ」

 タカミチの言葉に言い返されなくなり少し唸り黙る。

「・・・タカミチさんは、優しい人なんですね。」

「はは、別にそんなんじゃないと思うんだけど。」

「そうですよ。そんな理由で私達を信用してくれたんですから。」

 なのはは、タカミチに微笑む。そんななのはの言葉に少し照れくさそうに頬をかく。


「おい、タカミチ。そいつらが今回の侵入者か?」

 突然辺りに声が響いた。なのはも気がゆるんでいて接近には気付けなかったものの声により素早く構える。士郎の方は声をかけられる前から気付いていたようですでになのはの一歩前に立ち様子をうかがっていた。

「ほう」 

 その士郎たちの素早い行動に声の主が少し感嘆の声を上げる。

「だれ?」

 なのはの問いに答えるように電灯の明かりにより西洋人形のような少女とそれに付き添う、感情が薄そうな顔をした機械のような間接がのぞく女の子が姿を見せた。

「やあ、エヴァに茶々丸くんじゃないか。どうしたんだい?こんなところで。」

「ふん。侵入者に気づいたからに決まっているだろうが!!まったく。折角、人が気分よく過ごしていたというのに、さんざん私に捜しまわらせときながら、結局お前が先に見つけているとは!!」

「いや、それはすまなかったけど。でも僕が見つけた事学園長には連絡してあるんだけど、聞いてなかったのかい。」

「何ィ!!そんなこと一言も聞いとらんぞ。さてはあのくそじじい私に連絡するの忘れやがったなあ!!」

 キィー――、あのじじい殺してやる!!などと叫びながら、エヴァと呼ばれた少女が騒ぎ出す。

「・・・えっと、タカミチさんの知り合いですか?」

『しろうくん。あの子・・・。』

『ああ、かなり強いな。だが、その割に魔力をあまり感じないな。・・・しかしこの感じどこかで。』

 いきなりの展開に少し戸惑っていたなのはではあったが、タカミチに質問しながら、エヴァから感じた強者の感覚から士郎に念話をする。士郎もそれは感じており、注意を呼びかけるが、エヴァから感じた違和感について考え始めた。

「彼女達はここの生徒で、僕の仲間だよ。エヴァ、この二人は士郎君となのは君だ。」

「どうも」

「あ。こちらこそ・・・・」

 タカミチの紹介によりエヴァに付き添っていた茶々丸が軽く頭を下げ、それにやや慌てなのはも頭を下げた。

「ん?そういえばどうしてお前、侵入者と一緒にいるんだ?何かあったのか?」

「ああ、今から学園長室に連れて行くところなんだよ。」

「じじぃにか?一体何の用だ?」

「・・・少しいろいろあってね。」

 別にそれほど興味がなかったのかエヴァはそれ以上追求することはせず、あっさりとひいた。

「言うつもりはないか。まあ、別にいい。私には関係なさそうだし帰らせてもらうぞ。」

「あ、うん。それじゃあまた明日・・・。」

「少し待てもらえないか。・・・君、人ではないだろう?」

 今まで黙って見つめいていた士郎の言葉に足を止める。途端、空気が冷えた。

「・・・ほう。分かるのか人間?」

 エヴァが士郎を興味深げに見る。

「最近あまりその類と会わなかったし、そういうのを感じるのは得意ではないんだけど・・・どこか違和感を感じる。それに口の方から微かに血の匂いがする。」

「ほう。正解だ、坊や。分かったご褒美に私が何者か教えててやる!私はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。『闇の福音』、『不死の魔法使い』とも呼ばれる真相の吸血鬼!!それが、私の正体だ!」

 自分が吸血鬼であることを高らかに宣言するエヴァ。

「さあ、それを知った貴様はどうするのだ。私を殺すか?」

 士郎たちの顔を挑発的に覗き込む。

「さあ?今は何もしないよ。まだこの世界での吸血鬼の在り方なんて知らないからな。世界によっては、魔法のあり方だって変わってしまうんだ。吸血鬼のあり方だって変わることだってあるだろう。でも、もし君が人を襲うなら容赦はしない。」

 いつでも戦えるように士郎は体を半身に構える。なのはも少々混乱気味であったが、レイジングハートを取り出す。

 まさに一触即発。お互いに相手のことを見、いつでも動けるようにする。だが、

「どちらも少し待ってくれ!エヴァ、わざわざ挑発しないでくれ。ただでさえ君は封印されて本来の力が出せないんだ。それに、士郎君たちもだ。君達がエヴァと敵対するというなら僕はエヴァにつかせてもらうよ。」

 今まで、急な状況に戸惑っていたタカミチが慌てて止めに入る。士郎はそれによりあさっりと身を引いた。

「こちらはもともと戦うつもりはないさ。この世界のことをまだ知らない今、無駄に敵を作るわけにもいかないからな。しかし、封印とはどういうことだ?先程から真祖と呼ばれるほどの吸血鬼にしては魔力をあまり感じなかったが。」

「ふん。今は魔力を封印されているだけだ。それでもその気になればそこら辺の雑魚ぐらい相手にもならんがな。それよりもさっきから言っているが、この世界とは一体どういう意味だ?」

(なるほど、魔力は封印のせいか。ということは、この世界の真祖は人でも打倒できるということか。世界によって、真祖もここまで変わるか。うかつに判断するのはやはり危険だな。)

「その質問に答える前に、こちらもそちらに少し聞きたいことがある。」

「・・・まあ、いいだろう。何だ。言ってみろ。」

 腕を組み睨みつけてくるエヴァに士郎は、一端目を閉じ、

「お前は人を襲うか?」

 虚偽は許さないと鋭い目でエヴァを見つめた。

「何を言うかと思えばそんなことか。私は、誇りある悪だ。女子供を殺すようなことはせんし、自分から人を襲ったりすることなどしない。まあ、敵対するようなら容赦をせんがな。」

 だがエヴァは、そんな目を受けても一切怯むことなく正面から言い切った。

「吸血鬼ということは、血も吸うだろう。吸われたら、そいつは死ぬのか?」

「はあ?何言ってるんだ。そもそも別に血を吸うのは力の補給のためだ。吸いすぎれば死ぬが、本来は軽く貧血になる程度だ。血を吸えば多少は人格を操れるがすぐに元に戻る。もうこれで気が済んだか。」

「そうか。今までの非礼をわびよう。君が敵対しない限り俺達は手を出さない。気分を悪くさせて悪かった。」

 苛立ちながらもキチンと説明してくれたエヴァに士郎は表情を崩し、申し訳なさそうに笑った。
 
「ふん。そんなもことよりも早く私の質問に答えろ。」

 それに少し照れたのか、プイと顔をエヴァは横に向ける。

 そんな様子に士郎は少し言いづらくなり頬を掻く。

「あー、えーっとだな。俺達はこことは違う可能性を持つ並行世界から来たんだ。」

「よし。そんなに死にたいなら殺してやる。」

「ちょっと待ってくれ。確かに信じられないことだけど、そのことについては今から学園長のところに行って説明することになってるんだ。何でも証拠があるらしいよ。」
 
「何?」

 今まで事の成り行きを見ていたタカミチがエヴァを止める。

「ふむ。確かにこいつがいきなりこんなアホなことを言うような奴にも見えんな。気が変わったぞタカミチ、私も付いていく。こいつらに興味が出た。」

 にやりと士郎達を見やる。

「えっと。僕は構わないけど学園長に聞いてみないと。それに士郎くんたちは」

「俺たちは別に構わない。もともと俺たちは意見できるような立場ではないしな。」

「そんなものは当たり前だ。じじいのいちいち許可などもいらん。私に連絡もよこさんのだからこれぐらい当然だろう。」

「うーーん。まあいいか。学園長も気にしないだろうし。」

「ほら、とっとと行くぞ。」

 エヴァは士郎達を置いて、とっとと、前を歩き出した。それは子供が親を急かしているようで、士郎とタカミチはクスリと少し笑ってエヴァの後についていった。



「何か私が知らないところでどんどんと話が纏まっていく・・・。」

 そんな中、なのはは状況の移り変わりが激しすぎたためにまったく状況を把握できていなかった。

 そんななのはの肩を茶々丸は優しく手を置いた。
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