小説 クロスオーバー(Fate・なのは・ネギま)

□第五話
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 朝、なのはが太陽の眩しさから目を覚ますとすでに士郎は起きていたようで、朝ごはんの準備をしていた。近くにあった目覚まし時計を見るとすでに七時をまわっている。

(あれ?私、いつの間に寝ちゃったんだろう。)

 もう出来上がりが近いのか味噌汁の良い香りが漂ってくる。思わず鼻を引きつかせながら眠気目をこすっていると士郎がなのはが起きたことに気付いて声をかけてくる。

「おはよう、なのは。もうご飯もできるからもう少し待ってくれ。」

「う〜ん、しろうくん、おはよう。」

 眠そうに返事するなのはを見て士郎は苦笑しながら準備に戻る。今は、野外用のガスコンロで味噌汁を作っているようだ。すぐ近くには、おひたしと肴まで用意できている。今から手伝えることはもう食器を並べるくらいしかないようだ。そんなことをはっきりしない頭でぼーーと士郎の後姿を見ながら考えていると急に昨夜の出来事を思い出した。

「〜〜〜〜〜〜ッ」

「!?どうした?」

「な、なんでもない!とにかくなんでもないからしろうくんは気にしないで!!」

「そ、そうか。」

 なのはが声にならない悲鳴をあげたのに驚き、なのはを見るが必死になって首を振るなのはを見て困惑しながらも再び作業に戻る。それを見てほっ、と一息つくがまたもや思い出し顔を紅くする。

(わ、わたし。いきなり何してたんだろう。いくら気が動転してたからって士郎君の前で泣いちゃうなんて、し、しかも、抱きつくとか。ど、どうしよう。わたし、変なこと言ってないよね!?わたしこのままじゃしろうくんの顔見れないよ〜〜〜!)

 なのはは頭を抱えながら布団の上でゴロゴロと悶える。

「・・・・本当に大丈夫なのだろうか?」

 そんななのはの奇行を見て士郎は激しく不安になった。


・・・・・・


「「ご馳走様でした。」」

 あの後、なのはが落ち着きを取り戻した時ちょうど士郎の朝ごはんの準備が終わり、なのはも一緒になって皿を卓袱台に置くのを手伝った。その時、さっきの行動について何度か士郎が訊ねようとしたものの、なのはの無言の圧力により、聞きだすどころか問いかけることもできなかった。

「しろうくんは休んでていいよ。ご飯作ってくれたし、食器を洗うのぐらい私がやるから。」

「いや、別に気にするな。昨日はいろいろあって、なのはも疲れてたんだろうし。食器ぐらい俺がやるよ。」


「いいの!!私がやる。どうせ数も少ないからすぐ終わるんだし。だから、しろうくんはお茶でも飲んでて!」

「わかったよ。」

 なのはに強く言われ、士郎はしぶしぶながらも大人しく座り、お茶の準備をする。

(こんな落ち着いてるのいつ位だ?最近は特に急がしかったせいで、碌に落ち着いてお茶も飲めなかったな。はあ。なのはにも苦労かけちゃってたな・・・)

 士郎がお茶の入れながら前の生活ぶりを思い浮かべながらお茶をすする。

「終わったよ。」

「ん。ありがとう。お茶入れといたから。」

「ありがとう」

 そんな風に少し感傷に浸っていると洗い物が少なかったためすぐに終わったなのはが士郎の傍に座り、そんななのはに士郎がお茶を渡す。

「おいしい。ほんとすごいよね。料理も上手いしお茶もおいしいし、私、全然士郎君に勝てる気がしないよ。」

「それは昔からやってきたし、中途半端とはいえ修行みたいなこともしたしな。そんな簡単には、負けるきはないぞ。まあでも、最近はなのはも腕が上達しているじゃないか。」

「それは先生が良いですから。いつか絶対にしろうくんに勝ってみせるからね!」

 なのはは、士郎に胸を張ってみせながら笑みを向ける。

「ああ。楽しみにしてるよ。」

 それに対して士郎も笑いながら頷く。

 二人の間に穏やかな空気が流れていた。

「・・・それにしてもタカミチさんいつ来るんだろう。」

「そろそろじゃないか?朝には来るって言ってたし・・・・」

コンコン

「士郎君、なのは君。タカミチだけど入ってもいいかい?」

「噂をすれば、だな。」

「そうだね。はい。今、開けます!」

 二人は思わず互いの顔を見合って笑った後、なのはがドアを開けに行った。

「やあ、おはよう。今日はよく眠れたかい?」

「おはようございます。おかげさまでよく眠れました。」

「そうかい?それは良かった。」

 お互いに挨拶を交わしドアの前で話すのもあれなので中に入れる。

「お茶飲むか?」

「そうだね。まだ少しぐらいなら時間があるし、いただくよ。」

 士郎は棚から湯飲みを出そうとしたが、あいにく二つしかなかったので、とりあえずマグカップで代用することにしてお茶を準備する。

「ところで二人とも朝食食べたかい?食べてないようだったら今から何か買ってくるけど・・・・。」

「だいじょうぶだ。部屋にあった冷蔵庫から賞味期限ギリギリだった食材を勝手に使わせてもらったが、駄目だったか?」

「別に大丈夫だと思うよ。部屋にあるもの自由に使っていったの僕だし。たぶん、誰かが夜食かなんかで買ってきてそのままだったんだろう。腐らせるのもったいないし、使ってくれてむしろありがたいよ。それにしても今の口振りだと士郎君が作ったみたいだけど料理できるのかい?」

「はい。しろうくんはすごく料理が上手なんです!」

 なのはが自慢げに言う。

「へえ。機会があったら是非、僕も食べてみたいな。」

「機会があればな。まあ、そんな機会はなさそうだけど。」

 士郎はある程度の情報を集めたら外を廻るつもりであった。

「それはどうかな。意外に早く、その機会が巡ってくるかもよ。」

「それ、どういう意味ですか?」

「さてね。まだ決まったわけじゃないから僕は何ともいえないけどあの学園長のことだから・・・・」

「「????」」

「まあ、あくまでも僕の勘だから。気にしないで。」

 二人揃って頭にはてなが浮かんでいる様子にタカミチは笑いながら話を締めた。


 そうして暫く3人で談笑していたがタカミチの時間だという声に軽く部屋を片付けた後、部屋を出て学園長室に向かった。
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