小説 クロスオーバー(Fate・なのは・ネギま)
□第九話
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世界樹前広場
そこに深夜であるのにもかかわらず二つの人影があった。一人は頭の長い老人近右衛門。もう一人は白いスーツを纏った男タカミチである。
「こんなことに付き合わせてすまんの。タカミチ君。」
「いえ。僕も興味がありましたので構いませんよ。」
「フォッフォフォ。そういってもらえると助かるの。…来たようじゃの。」
学園長の視線の先、そこには赤い外套を纏った士郎と、こちらはとくに特別な格好をしているわけではなく新しく買った服を着たなのは、そして茶々丸を引き連れたエヴァがいた。
「こんな真夜中に呼び出してすまんのう。それにしてもエヴァまで来るとは…。」
不思議そうにエヴァを見る学園長。
「いえ大丈夫です。」
「何だジジィ。私が来たら何か困るのか?」
「そういうことはないぞい。しかし珍しいと思ってのう。」
「ふん。私が世話しているものたちだ。面倒を見るのは当然だろう
めんどくさそうに答えるエヴァだが、そこに昨日のような様子は見られない。随分仲良くなったものだと長い口髭を学園長が弄りながら感慨深げに思う。
「まずはどちらから――」
「私からいきます!」
ヤル気満々な様子のなのはの様子に以前感じた印象を抱く。とりあえず学園長は良いのかと士郎を見ると肩を竦められた。了承ということらしい。
「ふむ。では、ルールの説明じゃ。人払いの結界を張っておる。じゃから周りのことは気にせず思いっきりやってくれてよい。ちなみに殺しはなしじゃ。参ったというか、こちらの判断で勝敗を決めさせてもらう。」
「わかりました。レイジングハート。Set,Up」
《Set,Up》
なのはが光に包まれ次の瞬間白い衣装を纏ったなのはが現れる。それを見た学園長は二人に確認を取る。
「よろしくお願いします。高畑さん。」
「うん。こちらこそ宜しく。」
「では二人とも用意はよいかのぉ?」
「「はい。」」
(―――両手をポケットに入れている。こちらをなめている?それとも何かの構えなのかな?)
戦闘開始が近づいているいるにも関わらずポッケトに手を入れているタカミチになのはは少疑問を憶える。
「では、始め!」
「早速いかせてもらうよ。高町君。」
《!Protection》
パ、ッパァン
「「!」」
開始の合図とともに何かしらの攻撃を放ったタカミチ。なのはは反応することが出来なかったがとっさに気付いたレイジングハートがプロテクションを張る。
牽制とはいえあまりにも呆気なく防がれたそれにタカミチは軽く驚きを示した。逆になのはも防ぎはしたが全く反応できなかったその攻撃に眼を見開いた。
「初見でこの反応、しかも一瞬で強固な障壁を出現させるとは…。」
(…全然見えなかった。今のは一体!?)
「もう一度こちらから、いかせてもらうよ。」
(来る!?)
《Protection》
続いて放たれた攻撃、その正体を見極めんと再度正面から攻撃を受ける。
再度放たれた攻撃は先程と違い、多くの衝撃音が響くものの、先ほどと違いもともと構えていたこともあり、頑強さが増したプロテクションは破られることはなかった。だが、
(・・・だめだ。ぜんぜん見えない。)
肝心の攻撃の正体についてはなのはは見当をつけることができなかった。