小説 クロスオーバー(Fate・なのは・ネギま)

□第五話
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「で、結局あいつらのことを貴様はどうするつもりだ?」

 ところ変わって学園長室では、すでにエヴァと茶々丸の二人がおり、エヴァはソファーに座り茶々丸に給仕させていた。

「フォ?どうするつもりとはどういうことかのう?」

「私が分かってないと思ってるのか?貴様が、ただあいつらと情報交換だけをするとは考えられん。どうせあいつらに何かさせるつもりだろう?」

 学園長の飄々とした態度に多少エヴァはイラっとしたがそのまま問い続ける。

「さて?何のことかのう?」

「この、クソタヌキ!!」

「マスター落ち着いて下さい。」

「放せ、茶々丸!あのタヌキじじい、今すぐぶっ殺してやる!!」

「フォッフォフォ。」

 学園長に飛び掛かろうとするエヴァだったが茶々丸に抱き抱えられ、足をただばたつかせることしかできなかった。

「っく。ふん、まあいい。せいぜい手を噛まれんように気を付けることだな。」

 動けないエヴァは、せめてもの意趣返しとばかりに睨みながら皮肉を言う。もっとも、茶々丸に抱えられたままなので迫力がまるで感じられなかったが。

「心配せずとも、そんなことにはならんよ。」

「誰が貴様の心配などするか!いっそ、そのまま死んでしまえ!」

「ふむ。そろそろ来る頃かのう。」

「コラ!私を無視するるんじゃない!」


コンコン

 そんな騒がしい(エヴァだけだが)学園長室にドアをたたく音が響いた。

「学園長、タカミチです。」

「おお、タカミチ君待っとたぞ。入ってきてくれ。」

「茶々丸、下ろせ!」

「わかりました。」

 タカミチの声に学園長は嬉しげに言い、エヴァは威厳に関わると急いで茶々丸に下ろすように支持しソファーに座る。その様子を学園長は面白そうに見ていたが、エヴァに睨まれ目線を逸らした。

「失礼します」

 まずタカミチが入ってドアの横に待機し、その後を士郎、なのはと続く。

「おはようございます!」

なのはが入ってすぐ学園長とエヴァに向かってあいさつをする。それに学園長も笑みを見せながら返事を返す。

「おはよう、なのは君、士郎君。昨日はよく眠れたかのう?」

「はい!おかげさまで。いろいろとありがとうございました。」

「そうかそうか。それはよかった。」

「じじい。いつまでもそんなことをしてないでとっとと本題に入ったらどうだ。」

 さっきの事だろうか。エヴァがイライラしながら先を促す。

「何をイライラしてるんじゃ?別に挨拶ぐらいかまわんじゃろう?」

「ふん!いつまでもたらたらと話しているのが悪い!」

 普段と比べ今日のエヴァはやたらと気が短い。学園長やタカミチが内心首を傾げた。

「そちらの好意に対しては感謝しているが、こちらも早めに話をつけたいんだが。」

 士郎も早めに情報を手にしたく話をエヴァと同じように話を促す。

「まあ、それもそうじゃな。では、昨日はそっちの事情を聞いてばかりじゃったし。こちらの世界の話をしようと思うんじゃがかまわんかのう?」

「それはこちらからお願いしたいぐらいですよ。」

 学園長のそれに断るわけもなく士郎も肯定する。

「では、まず・・・・」

 こちらの魔法、そのあり方について、マギステル・マギ、この学園について、魔法世界のことなど学園長は話した。

 その間、机の前に置かれた、エヴァと向かいのソファーに座りながら士郎となのはは時々質問を挟みながら聞いていた。なのはは特に魔法について興味深く聞き、士郎はマギステル・マギ、立派の魔法使いに対してなのはにしか分からなかったが反応を示した。

「さて、大体こんなものかのう。」

「そうですね。」

 一時間ほど話し、学園長が抜けていることはないか聞きタカミチは大丈夫だろうとうなずく。

「・・・世界が変わるとこんなにも違っちゃうんだね。私が使うのよりこっちの魔法の方がオカルトに近いし・・・」

(うーん。私の使う魔法と全然違うけど、こっちの魔法と比べて、誰でも使えるみたいだし、私でも憶えることできるかなあ?)

「そうだな。こっちのほうが魔法の幅が広いようだな。」

(この世界は、なのはの世界よりも魔法における神秘が高そうだな。となると前ほど宝具のアドヴァンテージを得ることは期待できないか。その代わり幻想種相手には龍殺しの伝説がある武器もあるから対抗はできそうではあるか。)

「考えているところすまないが、そろそろよいかのう?」

 士郎、なのはがそれぞれ考えにふけているところ学園長が申し訳なさそうに言う。

「すみません。少し考え事しちゃってて。」

「いやいや。いろいろと考えることもあるじゃろう。気にせんでもよい。しかし、君達はこれからどうするつもりかのう?」

 なのはの謝罪に軽く首を振りながら、学園長にとっての本題を切り出す。

「おそらく元の世界には帰れないでしょう。明確にどうするかは決めてませんが、とりあえずいろいろとこの世界を廻ってみようかと考えていますが。」

 帰れないと言う士郎の言葉になのはは少し寂しげな顔になる。それに苦い思いをしながらも言う。

「しかし、戸籍がないじゃろう?それでは国を渡るのは難しいじゃろう?それにある程度教えたが、まだ解らん事もあるじゃろう。」

「蛇の道は蛇。俺達も裏に関わる人間です。どんな世界でもそういうのはあまり変わりませんよ。」

「ある程度の情報は教えてもらえましたし、大丈夫ですよ。知らない世界に行くこと自体は初めてじゃないですから、後は自力で何とかなります。」

 学園長の質問にそれぞれ答える。戸籍については、ある程度の文化があればだいたいそういうものを扱うものが必ずどこかにある。

「ふむ。だがどちらにしても危険じゃし、手間もかかるじゃろう。どうかね、わしが用意してもよいのじゃが。」

「・・・・ただと言うわけじゃないでしょう。何が狙いですか?」

 学園長のその含んだ様子に訝しげな目を二人は向ける。エヴァとタカミチは学園長に対して呆れた目をする。

「フォッフォッフォ。話が早くて助かる。どうじゃね?戸籍を用意する代わりにこの魔帆良で警備員をしないかね?普段は生徒ということになるんじゃが。」

「えっ、え〜〜〜〜〜!!生徒って、学校に通えるってことですか!?」

 何気なく言った学園長の言葉になのはが驚く。
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