泡沫の夕暮れ
□仕返しコンチェルト
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思いついたのは一体誰だ。
何やらコソコソと話し合っていたアイツらが、何を考えているのかなんて
そんなのい注意を向けられるほど、俺は用心深い。もとい小さい器の持ち主ではないワケで。
「それで?どういうことだソウマ。この状況は。」
にっこりと笑っているソウマに向けた俺の声は、自分でもびっくりするほど疲弊しきった様子だった。
「やっだなー優人。折角似合ってるのにそんなに怒ってたら台無しだよ?」
「そーそっ。さっすが優人だよなー♪」
「清雅・・・お前とはいつか決着をつけなきゃいけないみたいな気がしてきたぞ。」
やたら嬉しそうにニコニコ笑ってる2人の友人に、ああどうして同じように笑い返せるっていうんだ?
「おい。ユウマ!!誠也!!どうにかしろこの2人!!」
「どうにかといっても、俺も加担してるんでな。」
「同じく。」
「この野郎ども常識人ぶってこういうときに非常識人とはいい度胸だなぁおい。」
ああ。全くなんだってこんな。
なんだって、
「どこから持ってきやがったこんなヒラヒラスカート!!」
「ドレスだよ優人。」
「そ。ドレス。」
「ヒラヒラっつーかフリルだな。」
「珍しく優人がまともに怒ってるってもそれじゃ説得力にかけるぞ。」
「てめぇらいつか泣かすからな。」
はははと笑う俺が身に着けているもの。
黒い猫耳(尻尾もセット)
深い青色のドレス(フリル盛りだくさん)
首輪(まさかの鈴つき)
おまえら知らなかったかもしれないが俺は男だぞ。なぁ。
慰謝料にいったいいくら要求してやろうかなんて、こんな状況では口にできない。
−ああ畜生。どうなるってんだ!?
仕返しコンチェルト、観客の囚われ黒猫、1匹。
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