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□異界送り
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 金髪の青年が舞う。

 もう、この世のものではない者の魂が安らかに眠れるように…

 俺は、異界送りを見るのは、初めてじゃない。
ユウナが、「シン」に襲われた街で舞っていたのを見たから。
 でも、クラウドと、ユウナの舞はなんだか違った。
 ユウナの舞は、死者が、人々を恨んだり、憎んだりしないように舞うものだった。
 対してクラウドは、死者を慈しむように、人々が安らかに眠れるように…そういう感情が芽生えるような舞だった。


「クラウド…今日も…?」
「あぁ…人間って、どうしてこんなにも脆いんだろうな…。
毎日何人もの人々が消えていく。
俺の世界での異界送りは、亡くなった人にたいして、来世での幸福を祈ったりするものなんだ。」
「へぇ…そうなんだ…。」
「でも、俺の世代で異界送りは途絶える。書物に残るだけの舞となってしまうんだ。」

クラウドは、話してくれた。
異界送りのこと、一子相伝のこと。

クラウドの世界の異界送りでは、最後に歌を歌うんだって。
眠れるように、子守唄を。

「なぁ、クラウド。聞かせてくれよ。その歌を。……おれ、一回も聞いたことないんスから」

「そうだな…お前の前で、歌ったことはないかもな。」

「…って事は、セシルやジタンの前で歌ったことはあるんスか?」

「いや、ない。ただ、クジャとならある。あいつも知っていたんだ。異界送りを。」

そこまでいうと、クラウドはゆっくりと目を瞑った。
形のよい唇から紡がれる、子守唄。


         眠れ  眠れ  
      愛しきものを持つ者たちよ
     再び目覚め、この地に戻るまで
      月夜の夜にしじまを乱す

      鳴くな 鳴くな 夜明けの鳥たち
     大切な者を思い出したくはないから
       眠れる魂 安らかに
          今宵も眠れ
       愛しき者を持つ者たちよ





しばしの沈黙が流れた

沈黙を破ったのはクラウドのほうだった

「金が歌うは異界の歌
   金が示すは異界への道標」

ならば俺は答えよう

「茶色が守るは神の使者
   茶色の使命は、金の盾」

そう、俺はあんたを守り続けよう。
あんたに矢の雨が降り注ぐなら、あんたを守る盾となろう。
異界送りが途絶える、その時まで

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