DFF
□腕(かいな)
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「ティーダ」
俺がたき火の番をしていた時、後ろから声がした。
聞きなれた声が俺の名を紡ぐ。
振り返ろうと思った時には、後ろから抱き締められて。
嗅ぎなれた彼特有の甘い香りがして。
「クラウド。どうしたんスか?」
ギュ…と回された腕に力が籠もる。
それでも俺が苦しくならないように加減をして。
「別に……」
「眠れなかったんスか?」
「いや…」
「じゃぁ、いつもの…?」
クラウドが息をのむ。
クラウドはいつも、寝るときに誰かがいないを悪夢を見る。
昔、セフィロスが故郷を焼き払ったこと。
ザックスっていう男と、エアリスって言う子を亡くしてしまったということ。
仲間を守れなかったこと。
そういう夢を。
「大丈夫っス。のばらだっているじゃないっスか」
ううん、とクラウドが首を振る。
ブロンドの髪がフルフルと揺れる。
「ティーダだから……安心できる。」
クラウドから聞いた、言葉。
「クラウド……」
「だから…しばらくこのままでいさせてくれ。」
しばしの間。つかの間の休息。
急に睡魔が襲ってきて、少しだけ…そう思っていたら、いつの間にか朝まで眠っていた。