君とあたし
□君とあたし
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「あとちょっと…!」
学校の正門へとつながる曲がり角を、そのままのスピードで曲がった。
‘ドンッ’
あたしは、勢いよく通行人にぶつかって尻餅をついた。
「…っててて……すいません」
お尻をさすりながら起き上がると、ぶつかった相手に目を見開いた。
「ちゃんと、前見ろよな」
学校の王子と言われている、鬼頭海星だ。
(あたし、ピンチですか?!)
これまでの人生、極力目立たないように生きてきたあたしにとって、学校で知らない人はいない程有名人な鬼頭海星は、別世界の人間だ。
…あんまり関わりたくないので、謝ってさっさと教室に飛び込む!
「ほんとに、すみません!ごめんなさい!!…それじゃあこれで!!」
「ちょっと待てよ!…」
なんか後ろで言ってるけど、無視して突っ走る。
(無事に教室に着きますように!)