屑箱

□紅茶には角砂糖を添えて
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不思議の国に、新しいアリスがやってきた。

帽子屋の相棒として白ウサギから能力を与えられこれまで過ごしてきたが、こんなに面白くてアリスらしくなくて……
こんなに安心するのは、初めてだ。


『ただいま、帽子屋』

「おう、お帰りナマエ。悪かったな、買い出しなんか頼んじまって」

『しょうがないよー、だってアリスから目離せないもん』


私か帽子屋。
アリスを守ることの出来る私たちのどちらかがそばに居なくてはアリスは直ぐに未練に狙われてしまうんだから。


『で、その肝心のアリスは?』

「店の外の路地裏で銃の練習でもしてんじゃねーか?」


帽子屋は紅茶を飲みながら楽しそうに言った。

帽子屋も今回のアリスはお気に入りらしい。
帽子屋がアリスばかりに構うから、ちょっぴり寂しくなって私は彼の背後から抱き付いた。

でも、前みたいな不安はない。


「ん?なんだ、珍しいな。お前から甘えてくるなんて」

『珍しい、かな?』

「おう。前のアリスの時はほとんど近寄っても来なかったじゃねぇか」

『だってあの女…いっつも帽子屋の隣にいて……』


帽子屋の隣は私のものなのに。



そう言えば帽子屋は、抱き寄せて抱き締めて、私の唇に小さなキスをしてくれた。


「んな可愛いこと言ってると喰っちまうぞ」

『帽子屋に食べられるなら本望』

「ばーか、いちいち俺を煽んな」

『煽ったつもりはないんだけどなー』

「……心配すんな。俺の相棒はお前だけだよ、ナマエ」


帽子屋の腕の中は強くて優しくて、それでいて甘くて。

やっぱり、私の隣は帽子屋じゃないとダメだ。


そう…強く思った。







紅茶には角砂糖を添えて

(ちょ…帽子屋、さっきの本気!?…まだお昼…せめて夜になってから…)
(今は6時だ)
(ただいまー…って!!あんたら昼間っからなにしてんだよ!!?)
(おう、アリス。お子様は部屋で遊んでな)
(……いっつも思うけどさ、あんた俺とナマエとで態度変わりすぎだろ)
(何を当たり前なこといってやがる)




※帽子屋さんの時計は常に6時で止まってるんです。
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