屑箱

□矛盾行為
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私の恋人は、虚無界の住人で地を司る王。
そんな王の肩書きを持つ彼だけれど、物質界のことはよく知らないみたいで、私は良くも悪くも彼に翻弄されてばかり。


ちゅっ…―――

ほら、今だって。
私が明日の授業の予習をしていたら、部屋に遊びに来ていた彼が背後から抱き付いてきて私の耳にキスを落とした。


『ア…アマイモンっ…いきなりなんて、反則…!』


そう言えば、「ナマエが構ってくれないので」と彼が言った。

本当に、不意打ちは心臓が止まりそうになるから止めて欲しい。ただでさえ未だ彼との関係に慣れていないのに。


「兄上から好きな人には所構わずキスするものだと聞きました」

『それ間違ってるから…!』

「じゃあ、聞いたらさせてくれますか?」

『そ、れは…//』


フェレス卿…弟さんに変な事吹き込むのやめてください。
アマイモンは完全にフェレス卿の影響を受けてたちの悪い方向へ進んでいる気がする。

アマイモンはフェレス卿と違って純粋だから、そういう行為に怒ることも出来ないのだ。


「ナマエ、」

『聞かないでよ…そんなこと…』

「言ってることが矛盾してます」


だって…しょうがないじゃない。
結局どちらにしたって私はアマイモンの行為を拒否することは出来ないんだ。


「ナマエ、キスしたいです」

『……っ//』


視線がぶつかる。

ヘビに睨まれたカエルのように視線を反らすことも出来ず(というか許されず)、掴まれた腕をそのまま引かれ抱き締められる形で彼の腕の中に収まった。


「ナマエ、」

『わ…分かったから…!すればいいでしょ…キス…』

「分かりました。ナマエが焦らしたのでボクの気が済むまでします」

『…んっ』


どこで覚えてきたのか…いつもは無表情に近い彼が子犬のように瞳を潤ませてくるから、私は折れるしかない。


「ナマエの口は甘い味がします」

『…そう、かな…?』

「ボク、もっと食べたいです」


そう言って、再び唇を塞がれた。





矛盾行為

(どうしてナマエはこんなにも甘いのでしょう)
(え…いや…なんでだろうね)
(…このまま食べてしまいたいです)





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