屑箱
□女より女らしい君に嫉妬
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『…………………』
どうも、皆さん。
私の目の前にいる彼がキラキラしててウザイです。
ここはローランド帝国、英雄王シオン・アスタールの執務室。
彼は今、補佐のミラン・フロワードと何やら会談中。
だけどそんな彼らがムカつきます。
なんでかって?
そんなの……女の私よりもキラキラしてるからに決まってるじゃないですか!!
何、あの髪の艶!!!
肌がツヤツヤだし、爪も異様にピカピカしてる。
シオンに至っては、髪はすごく綺麗な銀髪だし、睫毛長いし、顔整ってるし、仕事完璧だし、なにやらせてもそつなくこなすし、それからそれから…!
『うぅ〜………』
「ん?どうしたんだ??」
『…シオンに殺気送ってるの』
「…さり気なく怖いこと言ってくれるね」
私からの視線を痛い程感じたらしい彼は、ミランとの会話を一時切り上げて私を振り返った。
髪が僅かに生まれた風にふわりと靡く。
笑顔が眩しい。
あぁ、ムカつく。
いつもなら…私に、私だけに向けられるその笑顔にトキメキすら感じるが、今は苛立ちを増す一つの原因にしかならない。
『シオンのバ〜カ……』
「…陛下、この女を黙らせてもよろしいですか…?」
「いや、大丈夫だ。な、後で相手してやるから今は待っててくれないか」
シオンが優しい。
その優しさが、さらに私の心に突き刺さる。
容姿→完璧
技量→完璧
性格→完璧
………………………。
『うわあぁ(泣)やっぱりシオンのバカ〜!どーせ私なんかシオンよりも女らしくないもん!!!』
「は!?ちょっと、待っ…!」
私は思わず執務室を飛び出した。
執務室に残されたシオンは、ただただ呆然とするだけであった。
女より女らしい君に嫉妬
(なぁ、シオン。お前の彼女が泣きながら出てったんだが…)
(あー、シオンさん、彼女泣かせちゃだめじゃないですか)
(……俺が悪いのか?)
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