屑箱

□意外な所で大人っぽいのは
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今日は珍しく、朝早くに目が覚めた。

元々私は朝が苦手で、旅に出ても朝はファイや黒鋼さんやモコちゃんに起こして貰わなきゃ起きれなかったから、これは凄い進歩だ。


『私、よく頑張った!』


自分で自分を褒め称える。
まさか旅が終わるまでに起こされなくても起きれる日が来るとは思わなかったから凄く嬉しい。


せっかく起きたんだから…と、私は二度寝をすることなく朝食を取りにリビングへと降りて行った。




『おはよーございま〜す…』



なんとなく、アダルト組を驚かせてみたくて声を潜めて部屋の中を見渡せば、リビングには人っ子一人いなかった。



『あっれ〜?もしかして私一番!?』


まさか誰よりも早く起きたとは…!

やっふー!!!とか叫びながら何か飲もうとキッチンに向かうと、私の喜びはあっけなく崩れ去った。



「あ、おはよぅ〜」

『…ファイ…!』

「珍しいねぇ、黒様より早いなんて」

『…なんだ……ファイ…起きてたのね……』



…さっきの私の喜びを返してくれ…!

相変わらずにへら〜と笑うファイにがくりと肩をうなだれた。

まぁいいさ。
黒鋼さんとモコちゃんよりは早く起きたことに変わりはないし!


とりあえず、空きっ腹にキッチンに来た当初の目的を詰め込もうと冷蔵庫を開けた。
否、開けようとしてファイがマグカップを持っているのに気付いた。


『ファイ〜、朝ご飯食べた?』

「まだだよ〜俺も起きたばっかりだしねぇ」

『じゃあ、今日は私が作るね!!』



…トーストでいいかな、簡単だし。

そこに少しのおかずを乗せて、ダイニングテーブルのファイへ持っていった。



『ねぇ、ファイ。それ…何飲んでるの?』

「んん〜、これ?」




ファイは口につけたマグカップを離し、それを指差す。
コクコクと首を縦に倒せば、ファイはにこりと笑ってこういった。



「コーヒーだよ、ブラックコーヒー」

『え…ブラック!?ファイが!!?』


え、え、ファイさん…あなた苦いのとか嫌いじゃありませんでしたっけ。

ファイは甘いの好きだけど苦いのは嫌い…という印象が頭の中にインプットされていたから。正直、かなり驚いた。



「んー…何かね、俺、朝はブラックコーヒー飲まないと起きた気がしないんだぁ」



はぁ…ととりあえず頷いてみる。

いつもは飄々としていてどこか子供っぽい一面を持つファイの大人な一面を垣間見た気がした。





意外な所で大人っぽいのは

(…ファイもちゃんと大人なんだね…)
(酷いなぁ、俺ちゃんと大人だよ〜)



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