いち

□エタノールに泥酔
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『ねぇ…ねぇってば!!』

「ん〜…」

『起きてよ、センセ』


安っぽいパイプの簡易ベッドに横になる白衣の男にナマエは深く深く溜め息をついた。

ナマエが保健室に来てかれこれ10分、全く起きる気配が見られない。
昼休みになったら保健室に来いって呼んだのは先生の方なのに…
肝心の当事者がこれでは私はどうすればいいのだろうか。


『私、教室戻るよ?戻るからね??』


そう、聞いているかいないか分からないけど一応声をかけて保健室を出ようとすれば、不意に後ろから手を引かれ、そのままベッドへと引きずり込まれた。


「勝手に帰るなよ」

『星月先生…起きてたんですか!?』

「いや…今起きた」


…というか"勝手"って…何回呼んでも返事もしなかったくせに。


「寝てればお前からキスが貰えると思ったんだがな…」

『何それ。私がそんなキャラじゃないのは先生が一番良く知ってるでしょ』

「あぁ、知ってる。お前が俺を好きで好きで仕方がないことも、ツンデレで2人きりになると異常に甘えてく『あぁあ!!!///』」

『もうやめて、それ以上何も言わなくていいからやめて!!』


本当のことなのにな…と呟いた先生はとりあえず口封じでもしておこう。

こんな…私がどうしようもなく星月先生のことが好きなんて事実が他人の耳にでも入ったら、羞恥で死ねる。
とくに水嶋先生とか水嶋先生とか水嶋先生とか←


「ほら、お前はここだ」


ポンポンと小さなベッドの隙間を叩き、隣に来いと言う先生に私はしばし目を白黒させる。

彼の行動の意味が分からず、なすがまま。

私が横になった(無理矢理横にさせられたんだけど)隣に先生も横になり、そのまま抱き寄せられてあたふた。


『あ、の…先生?これは一体…』


何がしたいんですか?

そう聞こうと先生の顔を覗けば、すでにその目は閉じられていて。


『ちょ、先生!?私、これから授業…』

「ん…うるさい、俺は眠いんだ。…お前はここで俺の抱き枕にされてればいい」

『授業はどうするんですか』

「サボればいいだろ」

『…仮にも一教師とは思えない発言ですね』


なんとも気の抜けたセリフに唖然。


「……ナマエ………」

『なんですか?』

「すー………」

『もしかして…寝言?』


嬉しくなって思わず彼の胸元に頬を寄せる。
薬品の匂いに溺れて、私も目を閉じた。






エタノールに泥酔

(ガラガラ…琥太にぃ、いないの??…また寝てるのかなぁ)
(バサッ…あれ、琥太にぃ……とナマエ?)
(…へぇー…(ニヤニヤ)いいもの見ちゃった…)



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