いち
□絶対的幸福指数
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さわさわと木々が揺れる。
眩しいほどの太陽が私達を照りつける。
遠くから熱血な先生と生徒たち(おそらく体育の授業だろう)の声が聞こえ、私は足元に横たわる一つの影に深く深く溜め息をついた。
"哉太が昼休みが終わるのに戻って来ない"とメールで月子に懇願されたのが、つい15分前のこと。
私…学科違うのになぁ………
どのみち私のクラスの次の授業は自習だったから、保健室に行く、と言って抜け出して哉太を探しに来たのが10分前のこと。
月子や錫也くんの頼みで私が駆り出されることは今に始まったことじゃない。
あの2人が探しても見つからなかったってことは、哉太は私達しか知らない"例の場所"にいるということだ。
『かーなーた!!!!』
「のわっ!?なんだ、ナマエか…びっくりさせんなよ」
『まーた授業サボって。サボるのは自由だけどせめて月子たちには一言メールしたげなよ』
「あいつらに連絡入れたらお前来ないだろ?」
その言葉が嬉しくて、つい笑みを浮かべて哉太の隣に腰を下ろした。
哉太が幼なじみに連絡を入れずサボるのは、私が駆り出されるのを分かっているから。
『で、今日はどした?』
「理由がなきゃ呼んじゃいけねーのかよ」
『そうじゃないけど…何か理由がなきゃ呼ばないでしょ?』
「…………た、から」
『はい?』
「っ……だから!ナマエに触れたくなった…って2回も言わせんじゃねーよ!!!//」
…あの、ですね哉太サン。
何故にあなたが照れてらっしゃるんでしょうか?
聞いてるコッチが恥ずかしいんですが。
『はは(笑)哉太耳まで真っ赤!』
「うるせぇっ//」
『拗ねないの!ほら、私に触れたかったんでしょ、膝枕したげるからおいで』
言えば哉太はブツブツ言いながらも素直に私の膝に頭を乗せた。
可愛いなぁ〜……
こんな猫なら飼いたい。
「なに笑ってんだよ」
『べっつに〜かにゃたが可愛いなって』
「かにゃたって言うな!」
『いいじゃん、かにゃた〜』
「だからっ」
髪を撫でつければ、ムスッとしながらも気持ちよさ気に身を預ける哉太が本当に猫のようで思わず笑みが漏れる。
木漏れ日の中で交わす、そんな2人だけの幸せな一時。
絶対的幸福指数
(おい、いい加減手離せ…って……)
(すー zzZ)
(…ったく、無防備なんだよ、お前は)
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