振り×RPG
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「……。」
無言で進む花井。その表情は厳しい。
そして紐で結ばれている木を見つけるとため息をついた。
「一体…どうなってんだよ!」
どうなってんだよー…だよー… (エコー)
花井がここを通るのはもう2度目であった。
迷いの森はその名の通り、この森に入り込んだものを迷わせる。森の道がぐにゃぐにゃしてて分かりにくい上に、暗いのだ。何の準備も無しに入ったら迷う。
花井もその噂を聞いていた。だから印をつけるためのロープを持ってきたのだ。
しかし、全く役に立たなかった。それはもう、広大な大自然は偉大である。
「あー…俺帰れっかなぁ…」
花井が途方に暮れているとガサッ、と森の中から音がする。
「…ん?」
そして、花井の目の前に勢いよく飛び出してくる。逆立った毛、獰猛な牙、大きな体躯。
「うわぁぁあっ!?」
それはまさしくモンスターと形容するに相応しく、思わず花井は後退った。
「く、来んな!」
ここまでか、と花井が思った時、声が響き渡る。
「そこの奴、しゃがんで!」
「え?!お、おう!」
花井は言われると同時にしゃがんだ。
瞬間、どこらから現れた花井より一回り小さい少年が自身の持っていた剣で迷いうことなく、化け物を真っ二つにした。
「すげぇ……」
花井はただその光景を口を開けて見ておくだけであった。
「ふぅ…やっぱり強くなってんな。」
少年は汗を拭うと一息吐いた。呆然としていた花井もようやく気を取り戻したようだ。
「あの…」
「お前大丈夫か?」
「大丈夫、だけど。」
「最近コイツらよく暴れてんだよねー、原因は分からないんだけどさ。」
「あ、そうなんだ」
「…お前、名前は?」
「俺?…花井、だけど。」
「へーっ、俺田島!田島悠一郎!!」
「田島…田島ね…田島ぁっ!?」
「うおっ、何だよ急に!?」
田島と呼ばれた少年を思わず凝視する。そして思い出すのは先生のあの言葉
「田島ってお前…、都に呼ばれてたんじゃねーの!?」
「あれ?何で知ってんの?」
「ちょっとお前に頼みたい事があって西広に聞いたんだ。先生って呼ばれてて情報通のやつに。」
「あー、センセイ。俺先生に勉強教えて貰ったことあるよ。」
そこで顔をしかめる田島。これは先生にこってりしぼられたな。と一人で納得する。
「へぇ…ところで、まだ出発してなかったんだな。」
「や、都のは行かないことにしたんだ。」
「ハァ!?」
「じぃちゃんがさ、病気にかかっちゃってさ。薬草とりに行かなきゃなんねーの。」
「…大変だな。」
「おー、でも俺に行けないとこなんてないけどねー!」
「(大した自信だな…)」
「良かったらお前も一緒に来ねー?」
「へ?」
「なんか頼みたい事があったんデショ?来たら聞いてやるよ!」
「(こ、こいつ…!)いいよ!行ってやるよ!」
「こーしょーせいりつ!花井!よろしくな!」
ニッ、と笑った田島を見て花井はため息をひとつついた。
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田島が仲間になった▼
というわけで第2話です!ここで解説する西広君と田島の関係性。
西広先生は月1で隣町にも勉強を教えに行く先生で、田島はその生徒。
田島の出来が驚くほど悪かったのでみっちり、そうみっちり教えた。
というか花井弓はwww
と思わず突っ込みなりたくぐらい花井がヘタレ。おかしいな、勇者なのに。