雨音今日は朝から雨が降っていた。凄く強い訳でもなく、かといって弱い訳でもない雨
じっとりと湿り、全てが億劫になってくる。目の前には大量の書類。嫌な程山積みになっており、これでもかと言うほど自己主張をしていた。
ただでさえ機嫌が悪いのに、さらに機嫌を悪くするような事しかない
ふざけんじゃねぇ!……と、書類を一蹴り。目を閉じ、気を落ち着かせようとするが、どんどんイラつきは募るばかり。
何時もはアイツを殴ればイラつきは収まるのに。
……そうだ、このイラつきを当てるアイツが居ないからいけないのだ。何時も鬱陶しい程目の前に現れ、感に障るほど煩い声。しかし、それが愛おしく感じてしまう銀色のアイツが居ない。
それが一番ザンザスをイラつかせていた。が、居ないものは仕方がない。朝起き、隣りを見てみると何時もは規則正しい寝息をたてているアイツが、今日は居なかったのだ。
私室にも談話室にも居なく、携帯にかけても出ない。結局見つからず、一人でイラつきながら書類整理をしていたのだが、今止めた
何故俺が、こんな不愉快な思いをしなくてはいけないのだ?それも全てあのカス鮫のせいだ。何としても見つけ出し、殴ってやる。……と、少し理不尽な事を考えながら、椅子から立ち上がったとき、ふと外を見た。
別に、何かが見えた訳でもないが、何となく、何となく気になったのだ。
雨粒がかかっている窓をあけると、さっきよりも大きく雨音が耳に入る。しかし、何故か規則正しい雨音以外に、バシャバシャと何かが動いて居るような音も聞こえる。
下を見る。銀色の物体が不規則な動きで動き回っていた。走ってみたり、回ってみたり、ジャンプをしてみたり……
長い髪は雨で濡れており、しかしそれは曇り空にも関わらずキラキラと光っていた。
………端から見ると、奇妙な光景だ。大の大人が傘も差さずに動いている。頭が可笑しいとしか思えないだろう
「スクアーロ」
ポツリと零した言葉が聞こえたのだろう。あちこちを見渡すスクアーロ。
「上だ、カス」
「あ゙っ、ボス……」
雨に逆らい上を向く。苦笑いしている様だが、雨のせいでグチャグチャだ。……笑える
「何をしている」
「あ゙?あ〜……、何だろうなぁ?」
「……俺が聞いてんだ」
全く呆れる。理由も無く雨に打たれているのか?これだからコイツはカスなのだ
「なんかよ、朝雨の音で目が覚めて外眺めてたら、外に出たくなったんだぁ」
「……意味わかんねぇよ」
外に出たくなったって、コイツはそんなに雨が好きだったか?
晴れの日なら分からないこともないが、雨の日にわざわざ濡れに出るなんて、コイツの思考はどうなっているのだ
「ボス、濡れてるぞぉ。部屋に引っ込んでろぉ」
「それは、テメェもだろ。さっさと戻って来い」
「え゙っ………」
なんだ?その不満そうな顔は