アイシテル
□present
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いや、な……?
嬉しいけどよぉ…
これってありなのかぁ??
present
いつもと変わらず、ボスの手伝いをしながらのんびりしていた時だった。
「…やる。施しだ」
そう、少しぶっきらぼうに女が好みそうな可愛い袋に入った何かを手渡したされた。
「……え、俺にかぁ?」
投げ渡せられなかったことと、あのボスが俺なんかにプレゼントをくれるとは思ってもみてなかったため、反応が一瞬遅れる。
「開けていいかぁ?」
「あぁ」
少し緊張して、震える手を頑張って抑え、中身を取り出す。
「……………は?」
「ぶはっ。こい、つけてやる」
「え、いや。………これ、首輪だろぉ?」
俺の手の上には、それはそれは真っ赤な、犬、の首輪があった。
間違ってもネックレスだなんていえないほど、がっちりとした犬の首輪。
「こい」
スルーかよ…
「いや、遠慮しとくぜぇ」
「……俺からの施しが気にくわないのか」
「そ、そういうわけじゃ……」
「ならこい」
駄目だ、本気だ。
目がマジ過ぎる…
全力で逃げれば、逃げ切れるかもしれないが、そうするとその後、この首輪よりもっと酷いことをされそうな気がするため(長年の感)、大人しく従うことにした。
ゆっくり歩いて寄ると、強く腕を引かれ、首輪を取られる。
首筋にひやっと冷たい首輪が当たる。
カチャカチャと慣れた手つきで締めていくボスの手を見てると、どんどん気分が下がっていく。
付け終わり、しばしの沈黙。
「……ぶはっ!似合うじゃねえか」
「似合ってたまるかぁ!!」
あぁ、少し泣けてきた……
ボスの手が、俺の髪を整え、頭を優しく撫でる。
「絶対に外すなよ」
「ふざけんなぁ!んなのつけて歩けるかぁ!!」
「てめぇがふらふらすんのがわりぃんだろ」
「………あ゙?俺がいつふらふらしたんだぁ!」
「してるじゃねぇか」
「してねぇ!」
それをいうなら、ボスの方がふらふらしてるじゃねえか。
愛人の所に行ったり、パーティーとか、たまに行ったりすると、女達にのまれてすぐどこかにいってしまうしよ。
「兎に角、外すな」
「理不尽だぁ…………、あ゙?」
どうすんだよと、首輪を睨んでいると、小さな銀色のプレートが付いているのに気がついた。
これじゃ本当に犬じゃねぇかと呆れながら、プレートを見てみると何か文字が書いてあるのが見える。
“Proprio XANXUS”
「な゙っ!?な、ななっ、なに!」
体中の血液が顔に集まるのが分かる。
ビックリして、上手く言葉が言えない俺を見て、意地悪そうに笑うボス。
勘弁してくれ…
「これで、少しは悪い虫が減るだろう。命令だ、外すな」
あぁ、卑怯だ。
卑怯すぎる。
そんなこと言われて、断れるわけねえだろうがぁ
「…………si」
俺のだ。
なんて。
独占欲むき出しなこの首輪が、一気に好きになってしまったじゃねえか、ちくしょう!
いくらなんでも、犬の首輪はないと思うが、
束縛するほど、俺のことを思ってくれていると思うと、
嬉しいと思う自分がいる。
流石に毎日は無理だけど、
たまにならつけてもいいと思ってる、自分もいる。
(たまに見せる独占欲が、愛おしくて)
(君の要望に応える俺は)
(末期だと思う)
end
あとがき
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